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小説という名の日記B(栞機能無し)
18

昴が唇を噛み締めて俯いている。
言い返したいなら言い返せばいい。

だが千宙が恒矢に教えたのだ。
表の地球での国王の存在は必須。
現国王が亡くなれば、恒矢が国王となる。
国王は偉大で絶大。
恒矢が戻れば晶太が幽閉される。
だが晶太が恒矢の代わりを務める時もあるかもしれない。

そして個人的意見としながらも、千宙はそれを叩き込んだ。
もし恒矢に何かあれば、晶太が恒矢の代わりとなる。
国王は反対するだろうが、晶太の教育もまだまだ必要だ。

千宙としては勝手に連れ去った挙げ句幽閉される晶太を慮っての発言だったが、それは恒矢に表の地球の王位継承者としての自覚と重要性を齎した。



「いいか、もう一度だけ言う。今は俺が王子だが、あいつが王子にならないとは限らない。覚えとけ」

千宙から教わった時は、国の為の必要性を考えていた。
けれども今はそれだけではない。
それが晶太と昴の為にもなると分かっている。
だから恒矢は再度強く言い放つ。

恒矢の言う意味を理解出来たのか出来なかったのか。
昴が再び俯き、唇を噛み締めていた。



恒矢は宣言した通り、晶太に会いに行かなくなった。
昴が密かに会いに行っているのは知っている。
だが恒矢から尋ねるような事はしない。
昴も晶太の事を言わない。

恒矢の言った事が昴に影響を齎したのかも知らない。
言いたいことは言った。
後はあの二人次第だ。
だから知る必要はないと思う。



あれから昴とは必要最小限の会話しかしてない。
寝所では勿論だが、人前でも取り繕う為の会話しかしなくなった。

もう恒矢から口付けることはない。
口付けなくても十分、王子と従者の仲を認めて貰えたと思う。

明日明後日にも世継ぎの子が産まれそうだと、報告を受けている。
報告は常に昴の居ない時間に行われる。
式当日まで昴の耳に入らないようにさせた。




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