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小説という名の日記B(栞機能無し)
13

自分が口走った事を昴は後悔してない。
怒りに駆られ本音をぶちまけたが、もうこれ以上晶太が傷付くのを見ていたくない。

本当に優しい人間なら此処で頷く筈。
だが恒矢は平然と首を振る。

「あいつが何故傷付く?俺達の結婚を知っても何も言わない。それに昴もあいつに気持ちを伝えてない。本当に傷付いていいのは、互いに気持ちを打ち明けて、それでも俺が引き裂く場合だろ?」



何だ、その理屈は。
昴には屁理屈にしか聞こえない。
自己中心的な発言にしか聞こえない。

もうこの話はこれで終わりだ。そう言わんばかりに、恒矢が背を向け歩き出す。

そうか、そのつもりか。
だったらその通りにしてやろう。
それで晶太を傷付けないと言うのであれば。
主の言葉を逆手に取ってやる。



起爆剤となったか分からない。
それでも内心の変化があったのだろう。
鋭い昴の眼差しが恒矢を射抜く。

共に夜を過ごしている間も、はっきりとした無言の拒絶が伝わってきた。

本当に馬鹿馬鹿しい。
だけど自分自身が一番馬鹿馬鹿しい。

早く何処かに帰りたい。
帰るとすれば日本しかないのだけれど。
だが日本にすら帰る場所はない。
本当に馬鹿馬鹿しい。



「昴、地下に付き合って貰おう」

恒矢が声を掛ければ、昴が黙って付いて来る。
無言はいつものこと。
いつもと違うのはその表情。
何かを秘めた顔付き。
どうやら起爆剤は効いたらしい。

二人が現れた途端、晶太が昴を見て目を潤ませる。
だが恒矢に視線を移すと直ぐに俯いた。

「取って置きの話があるんだが」

態と一旦口を閉じれば、痩せた肩がピクリと跳ねる。
けれどもこんな下らない茶番劇ももう直ぐ終わる。




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あきゅろす。
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