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小説という名の日記B(栞機能無し)
5

晶太からの告白はないと言う。
どう見ても晶太の感情は従者の域を超えている。
友人の域も超えている。
あれほど分かり易い好意。

告白しなかったのは、いつか自分が王位を継がねばならないと思っていた所為だろう。
そうまでして昴の傍に居たのに、今度は幽閉され尚更告白出来なくなってしまった。
そういうところだろうか。



恒矢にとって昴は大事な存在だった。
一歩退かれていても、晶太を想っていても、この星で独りにならずに済んだのは昴が居てくれたからだ。

恒矢の従者としての役目を終えた千宙は、国王の側近として働いている。
今では顔を見せに来ることもない。

この頼れる者のない世界で、恒矢には昴しかいなかった。



昴と晶太の関係を見た今では、自分こそがこの世界の邪魔者だと思う。
日本という国で暮らしていた時も、孤独を感じたがこれほどではなかった。

何れは表の地球へ戻らなければならない。
そう考えていたからだろう。
日本で暮らしていても、心を完全には開けなかった。

いろんな人達が繋がりを求めて知り合っていくのを、ただ恒矢は眺めていた。
恒矢にも知り合いくらいは居る。
その知り合いがネット上の絡みを教えてくれても、恒矢は決して染まろうとしなかった。
別の知り合いが交友関係を広げ、恒矢も誘ってくれたが、恒矢はいつも丁寧に断っていた。



恒矢の周囲はよくて知り合い程度。
自ら選んだ事とは言え、寂しさを感じる時が多々あった。
けれどもそれは仕方のない事だと言い聞かせていた。

けれどもこの星に来てからは、孤独の度合いが違っている。
本当に独りなのだと、嫌になるほど思い知らされる。

それでもやってこれたのは昴が傍に居てくれたからだった。
昴の気持ちが何処にあろうと、昴が傍に居てくれたから。
だから恒矢はこの世界で何とかやってこれた。





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あきゅろす。
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