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小説という名の日記B(栞機能無し)
4

晶太に会ってみたいと思った。
昴が愛している存在を、この目で見てみたいと思った。
だから昴に頼み、地下へ連れて行って貰った。

昴は最初、渋った。
晶太と恒矢を会わせたくない。
それは晶太への想いの深さだった。
だが王子の命令だと言えば断れない。
渋々ながらも昴は晶太の所へ連れて行ってくれた。



会ってみて吃驚した。
恒矢と瓜二つの晶太。
双子でも此処まで似てはいないだろう。
これがパラレル世界かと改めて思う。

昴が恒矢を案内してきた時、晶太は恒矢を睨んだ。
晶太は牢に閉じ込められてから初めて事情を知った。
自分の境遇を嘆き、見たこともない恒矢を恨んだ。
昴が会いに来てくれなければ、心が荒みきっていただろう。

「俺と君は同じ人間に見えるね」

本人としては何気なく言ったつもりなのだろう。
だが恒矢のその言葉さえ腹立たしく思えた。



恒矢は晶太が自分を快く思ってない事に直ぐに気付いた。
明白な敵意。
それも仕方のないことだと思う。
恒矢の手の甲に痣が出現した所為で、今までの生活を奪われたのだ。
恒矢を憎んでも当然だと思う。

晶太の態度は分かり易い。
昴に対しては極上の笑顔を浮かべる。
昴への想いが溢れている。

昴も晶太に愛しげな微笑みを向ける。
恒矢には向けられたことのない微笑み。

二人がどれほど互いを想い合っているか、一度見ただけで十分だった。



地下から戻った後、二人の関係を昴に問うた。
付き合ってるのかと問えば、付き合ってないと言う。
互いに想い合っているのがあれほど分かるのに、付き合ってないのが不思議だった。

告白はしないのか。
そう問うと、昴が静かに首を横に振る。
恒矢は理由を問い詰めた。
王子の命令だと言って問い詰めた。

自分は王子の従者だから。
昴は諦めたように白状した。





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あきゅろす。
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