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小説という名の日記B(栞機能無し)
3

恒矢は千宙から表の地球の教育を受けていた。
だが裏の地球で育ったのだから、恒矢にとっては裏の地球が自分の星のように思える。
ただ裏の地球の人間と違うのは、パラレル世界が現実に存在していることを知っているということだ。

それでも千宙の教育の賜物だろう。
いつかは表の地球に戻らなければならないと分かっていた。



けれども実際に戻ってみれば、恒矢は独りを実感する。
国王が抱き締めてくれる。
今まで済まなかったと懺悔までしてくれる。

それでも此処は恒矢の暮らしてきた地球ではない。
余りにも似ていて錯覚しそうになるが、恒矢の暮らしていた地球の日本という国には、こんな洋風の城はない。
日本には首相や天皇は存在するが、国王は存在しない。

幾ら言葉を喋れても、会話をする友人が居ない。



独りを実感する世界で恒矢が心を開けたのは、千宙とその息子の昴だった。
昴は千宙から紹介された。
これからは昴が従者になるのだと。
昴は全ての事情を知っていると。

昴は優しかった。
恒矢を励まし支えてくれる。
千宙に似て毅然としており、従者として誰にも引けを取らない。

けれども従者だからだろうか。
恒矢に対して何処か一歩退いている気がする。



恒矢は昴が時々地下へ行くのを知っている。
地下から戻ってきた時、暫く幸せそうな余韻に浸っているのを感じる。
実際に地下で過ごした時間が幸せなのだろう。
恒矢は昴の感情に気付いている。

何故なら地下に誰が居るのか、恒矢は知っている。
表の地球に戻ってきた時、国王から聞かされていた。
自分の身代わりが気になり、恒矢自ら国王に問うた。
だから昴が密かに晶太に会いに行っている事を知っている。

昴は態度に表さないようにしているが、昴が晶太を想っている事を恒矢は気付いている。





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