[携帯モード] [URL送信]

小説という名の日記B(栞機能無し)
1

二つの似通った星があった。
二つの星は非常に似ていた。
それはパラレル世界であり、パラレル世界でなかった。

何故なら二つの星には違いがあった。
一つの星には多数の国家が存在するのに対し、もう一つの星は一つの国家を軸とする王国制であった。
そして二つの星を繋ぐ入口を、王国制の星の王家の者だけが知っていた。

王家の者は、自分達の星を表の地球、もう一つの星を裏の地球と呼んだ。



王族には代々手の甲に星形の痣がある。
星形の痣がなければ、例え王族直系の血筋でも、王位継承者にはなれない。
そしてこの度産まれてきた王子には、手の甲に星形の痣がなかった。
これは由々しき事態だった。

苦渋の末下した国王の選択は、裏の地球に行き、手の甲に星のある赤子とすり替えることだった。
王子が成長すれば、手の甲に痣が出現するかもしれぬ。
王子を従者に預け、裏の地球で生活させることにした。



手の甲に痣のない王子を恒矢と名付けた。
裏の地球から連れてきた赤子を晶太と名付けた。

恒矢には千宙という従者をつけた。
千宙に恒矢の教育を任せた。
王位継承者として教育し、いつでも表の地球に帰ってこれるようにした。

万が一の為に晶太にも教育を施した。
晶太には晶太が裏の地球の人間だとは教えていない。
万が一の為に、信頼ある者以外誰にも知られないようにした。

日々成長していく二人の子供は、顔も声もそっくりだった。
姿形は同じ人間のように見えた。



王国で暮らす晶太に友達が出来た。
友達の名を昴という。

二人は仲が良かった。
昴は千宙の息子。
父親から晶太の素性を知らされていた。
誰にも言ってはいけないと念押しされたから、昴はそのことを誰にも言ってない。
晶太の為にも、晶太自身にさえ言ってない。
晶太自身、身の上を知ることなく伸び伸びと育っていく。

晶太と昴が互いを大事にし合うのを止める者は居ない。
国王の教育方針により、晶太は自由に育てられている。
自由と言っても一通りの教育はある。
だがその日の学習が終われば、後は自由な時間だった。





[次へ#]

1/22ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!