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小説という名の日記B(栞機能無し)
15

それ以上聞いていられずに、湖南は静かに扉を閉めた。
両思いがどうたらと言っていたような気がするけれど、それは閉まった扉によって聞こえなくなった。

仲睦まじい親子の姿。親子の会話。
裕進が我が子のように可愛がる聖那。
きっとあの二人の仲の良い姿を見たから気分が悪いのだ。
動悸が止まらないのは気分が悪いからだ。

他に理由はない。ただ仲良さげな二人の姿が目に映ったから。
まるで本当の親子のような姿を見せ付けられたから。
だから気分が悪くなっただけだ。

手に持ったカップ。疾くに飲み終わったカップに口をつけようとして、空っぽだったと気付いて止めた。
晴翔の作ったホットミルクの効果は既に切れていた。



自分の恋を学習した時から聖那が積極的になった。
仕事を終え戻ってきた晴翔に飛びついては、裕進に苦笑されていた。
今まではおかえりと裕進に飛びついていた聖那の変化を、遂に親離れか?と晴翔も満更でもなさそうだった。

晴翔が湖南に話し掛ける度、聖那も傍に来た。
毎晩のホットミルクは恒例となっていて、聖那はそれを何時も羨ましがった。

「僕が人間だったら僕にも作ってくれる?」

「聖那の飲みたい物を作ってやるよ」

「僕もそれがいい」

「これは湖南の為に作ってるから、聖那には別の飲み物を作ってやる」

えー?と不満げな声がした。
それはアンドロイドの意に沿わない発言を晴翔がしたということ。
恋を学習してから聖那はどんどん人間らしくなっていった。



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