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小説という名の日記B(栞機能無し)
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「じゃあ聖那は裕進さんだっけ?その人の本当の子供じゃないんだ」

「ううん、僕はお父さんの子供だよ。聖那は俺の子供だってお父さんが言うもん」

「ふうん、アンドロイドなのに愛されてるんだね」

意地悪な言い方にも拘わらず、聖那が嬉しそうに肯定した。

「お父さんね、お母さんが大好きだったんだけど、お母さん子供産む前に死んじゃったんだ。だから僕がお父さんとお母さんの子供なんだよ」

プラスの感情のプログラムが豊かなのは親の愛情らしい。
「博士」でも「裕進」でもなく「お父さん」と呼ばせる辺りも、父親としての愛情が窺えた。



「あーあ、僕も人間になりたいな。人間っていいよね。いろんな表情が出来るんだよ。人間の気持ちが分かるようになれば、僕の表情も増えていくんだって。たくさん表情が作れるようになりたいな」

笑顔が多いのは、嬉しさや喜びを与えられてきたからなのか。無から始まった笑顔も八種類まで増えた。
精巧に出来ているアンドロイドは自分で考え発言する事も出来る。
どれほどの愛情が聖那に注ぎ込まれたのだろう。
裕進という人物の思いがこのアンドロイドに込められているのは明らかだった。



「でも湖南って不思議だね。あんまり表情が変わらない」

自分の考えに耽っていた湖南はその声で意識を戻された。

「聖那が何故感情を欲しがるのか僕には理解出来ない。人間より機械の方が楽でいいのに」

「ううん、人間の方がきっと楽しいよ。今よりずっともっと楽しくなる」

目を輝かせる様はまるで本物の人間のようで。

「気楽でいいね」

いっそ湖南と聖那の魂を入れ換えればいい。



「あっ、お父さん」

突然ドアが開き入ってきた人物にまた思考が中断された。

聖那を作った人物、裕進。
湖南を見て一瞬眉を顰めた後、聖那に穏やかに微笑んだ。

「彼は起きたんだね」

「うん、紹介するね。湖南って言うんだ」

そして湖南にも僕のお父さんだよと紹介をする。
湖南は小さく裕進に頭を下げた。



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あきゅろす。
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