小説という名の日記B(栞機能無し)
11
山に氷が張り通れなくなりました。
寒くて悴む指先。凍える全身。
それでも毎日外に出掛けて探します。
食事は毎日少しずつしか摂りません。
僅かずつ食べなければ保ちそうにないと気付いてから、一日に食べる量を決めています。
僅かな食事はウェイの体力を奪っていきました。
身体がどんどん痩せ細っていきます。
段々と足下も覚束無くなっていきます。
それでもダイヤモンドに取り憑かれたウェイは、毎日外へ出て探しました。
ふらふらになりながら探しました。
何だか今日は特にふらふらしています。
今にも意識がなくなりそうです。
それでももう少しで見つかる筈です。
虱潰しに探しているのです。
残された場所はあと少し。
後は彼処を探すだけです。
もう少し。あと少し。
彼処で終わりだ。彼処にダイヤモンドがある。
よろけながら残った一ヶ所を目指します。
途中で足が縺れました。
その勢いでウェイは地面に倒れます。
立ち上がろうとしましたが、上手く力が入りません。
それでも何とか這いながら進みました。
目が霞みました。
意識を失いそうになりました。
けれどももう少しです。
もう少しでこの手にダイヤモンドを掴むのです。
漸く辿り着いた最後の場所。
此処にダイヤモンドがある。絶対にある。
だからもう少し。あと少し。
ウェイは手を伸ばして探しました。
必死に掴もうとしました。
けれども掴もうとした手は力が入らず、宙を掠めていきます。
此処にダイヤモンドがあるというのに。
あれほど夢見たダイヤモンドがある筈なのに。
それなのに身体が動きません。体力の限界でした。
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