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小説という名の日記B(栞機能無し)
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時々マトウが来ては食料を置いていきます。
貴方の家の管理はサライが責任を持ってやっています。
安心してください。
来る度に必ず報告していきます。
その度に御座なりに礼を述べてはいますが、今のウェイにとっては我が家よりもダイヤモンドが一番です。
マトウはウェイの胸中を知りません。
友人の家を管理してくれるウェイに感謝しました。

月日だけは経っていくのに、ダイヤモンドは一向に見つかりません。
絶対にある筈だ。この地の何処かにある筈だ。
ウェイの執念は諦める事を知りません。
何かに取り憑かれたかのようにダイヤモンドを探し回ります。
もう直ぐ冬が来ようとしていました。



ある日食料を持ってやって来たマトウが言いました。
もう冬が近付いています。
冬になると山には氷の壁が出来ます。
そうなると山を通れなくなります。
だから僕が食料を持って来れるのはこれで最後です。
後は氷が溶けてからになります。
タミルの家を管理して頂くのはとても有り難いのですが、冬の間は管理を止めて戻ってきてください。
その間は放ったらかしになりますが、また氷が溶けてからお願い致します。

それを聞いてウェイは分かったと頷きました。
なに、其れまでにはダイヤモンドも見つかる。
きっとダイヤモンドはある。
氷が張るまでに見つければいい。
マトウの気遣いを適当に聞き流しました。

遅くとも氷が張る前には戻ってきてくださいね。
最後の言葉も適当に頷いて、去っていくマトウを儀礼的に見送りました。



とうとう冬がやってきました。
それでもまだダイヤモンドは見つかりません。
この地の何処かにある筈なのに、まだ一つも見つかりません。
もう少しだ。もう少しで見つかる。
ウェイは強く信じ込んでいます。

山に氷が張っていくというのに、ウェイは戻ろうとしません。
食料なら少しずつ食べれば何とかなるだろう。
それよりもダイヤモンドだ。ダイヤモンドを見つけなければ。
来る日も来る日もウェイはダイヤモンドを探しました。



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