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小説という名の日記B(栞機能無し)
4

空いていた席に座った。
何だか疲れていた。
段々と人が多くなっていく。
軈て空いてる席は何処にもなくなった。
電車の中が混んでいた。

杖を持った老婆が入ってきた。
揺れる車内は不安定で、見ているだけで危なかしかった。
だが空いてる席は何処にもない。
老婆に座ってもらおうとセンは席を立った。

老婆に近寄り、今し方まで自分が座っていた席を見遣る。
だが空いてる筈のその席は空いてなかった。
センと同じくらいの年齢の少女が、何時の間にか座っていた。

センは溜め息を吐いた。
電車が揺れる度、そっと老婆を支えた。
駅に着くまでセンは老婆の傍を離れなかった。

幸いにも老婆はセンと同じ駅で降りた。
皺くちゃの笑顔が印象的だった。



どっと疲れた。
一日だけで体力ではないものを疲弊した。

これが自由というものなのか。
自由は素晴らしいと思っていた。
自由を勝ち取る為に戦ってきた。
だけどこれが自由だと言うのなら。

こんな自由は要らない。
この国に学ぶものは何もない。
自分の国に帰ったなら、仲間と共に話し合おう。
自分達の手で未来を切り開いていこう。



ホテルに帰り着いたセンを某国の主要人物が出迎えた。

「どうでしたか、我が国は。皆、生き生きとしていたでしょう」

明日もまたお出掛けになられては。
語り掛けるその声を、センは首を振って遮る。
そして自分の意思を告げた。

明日、自分の国に戻ります。



















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あきゅろす。
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