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小説という名の日記B(栞機能無し)
3

だがセンの言葉は通じない。
店員がセンを不審げな眼差しで見遣る。
そうしている間にも少年の姿は見えなくなっていた。

センはこれ以上の訴えを諦めた。
口を噤み店員に頭を下げて店を出る。
外は晴れているのか曇っているのか分からない天気だった。



センは駅へと歩き出した。
電車の乗り方は事前に聞いていた。
乗ってみたいと思っていた。
駅が直ぐ其処に見える。
きっとあの大きな建物が駅だ。

駅を目指し歩いていたセンを、いきなり三人の男が取り囲んだ。
どの顔もにやけている。

「俺ら困ってんだけど助けてくんない?」

「そうそう、財布なくしちゃってさ」

「ちょっと俺らに分けてくんねぇかな」

何か分からない言葉を話しながら、センのポケットを探ろうとしてきた。



どうやら自分は強請られているらしい。
雰囲気と行動が物語っている。

センは相手を殴りつけた。
戦闘訓練を積んだ肉体。
三人を倒すのは早かった。
センの身体は掠り傷の一つもない。
今度は護衛も大人しくしていたらしい。
近付いてこようとはしなかった。

伸した三人を放置して、また駅へと歩き出す。
電車に乗って何処かへ行く気はもうなかった。



駅に着くと滞在するホテルの駅までの切符を買った。
金額が分からず適当に入れたが多すぎたらしい。
出てきた釣りをポケットに仕舞った。

切符を買い改札口に入ったのは良かったが、それからがどうにも分からなくなった。
突っ立ったまま悩んでいると、見兼ねたのか護衛が近付いてきた。
意地を張っても仕方がない。
ホテルへ戻りたいと言えば、護衛が乗る電車を教えてくれた。
それからまた護衛は離れていった。



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