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小説という名の日記B(栞機能無し)
2

車の助手席に乗り込んだ。
友達の運転は上手く、不安を感じることはない。
僕は助手席の窓から外を眺めていた。

流れ行く景色も変わった所はなかった。
A国と同じような街並み。
それなのに僕の目は窓の外に釘付けになった。

何なんだ。これは何かの間違いか。いや、間違いじゃない。
何度目を擦っても、目に映るものは間違いじゃなかった。



人間が人間を連れて歩いている。
四つ這いになった人間が、動物のように首輪を付けられ鎖で繋がれている。
それは人間が人間を散歩させているとしか思えない姿だった。

あれは?
思わず僕は友達に問い掛けた。
衝撃的で忘れられそうもない。
僕の声は上擦っていただろう。
なのに彼は「ペットだ」と何でもない事のように言った。



ペットって言うと、犬とか猫とかウサギとかのあのペットだよね?

何言ってるんだ。それは家畜じゃないか。

彼の言葉の意味が分からなかった。
家畜?家畜とは豚や牛を言うのではないだろうか。
完全に混乱している僕を見て、彼は可笑しそうに笑った。

そうだ、腹が減らないか?
唐突に問われ、そう言えば何だか空腹な気もしてきた。



僕が頷くと彼が車の向きを変え、レストランへと連れて行ってくれた。
テーブルに座りメニューを僕に見せながら、楽しそうににやけていた。
悪戯っ子のような表情に、何かあるなとは思っていたのだけれど、いざメニューを開いてまた僕は驚かざるを得なかった。

メニューに載っている肉は、猫や犬やウサギの肉だった。
あれは家畜。そう言ったのはこの事だったのだと理解した。



そしてB国が噂にしかならない訳を唐突に理解した。
ペットとしての人間。家畜としてのペット。
この国はおかしい。

けれども友達はこの国を気に入っている。
これが当たり前の世界なのだと当然のように思っている。
友人がこの国に馴染んでいる。
僕はその当たり前の世界を知る為に、彼に話を聞いた。



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あきゅろす。
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