小説という名の日記B(栞機能無し)
1
僕の友達のペットはウサギだった。
彼はウサギを可愛がっていた。
だけどある日彼は、ペットのウサギを僕に預けてB国へ行った。
B国は僕達の住むA国が独立させた国だった。
だけどあまりB国を知る者は居なかった。
何しに行ったんだろう。
その時僕はそう思っただけだった。
ウサギを預かったからには世話をしなければならない。
友達が帰ってくるまでの間だ。
当然僕は世話をした。
彼の電話番号だけは知っていた。
何かあったら連絡してくれ。
分かった、と僕は気軽に請け負ったけれど、彼はなかなか帰ってこない。
何もなかったけど時々電話してウサギの様子を報告してみた。
彼は「そうか」と言うだけだった。
何時帰ってくるのかと問うた時も、分からないとあっさり答えていた。
僕はウサギの飼い方に詳しくない。
それなりに勉強してみたけれど、ある日家に帰れば彼から預かったウサギが死んでいた。
彼から預かったウサギだ。
僕が世話を任されたウサギだ。
僕が死なせてしまったのだから、正直に彼に報告しなければならなかった。
だから僕は彼に電話した。
ごめん、ウサギを死なせてしまった。
意気消沈して謝ると、彼は気にしてない様子で僕に話し掛けてきた。
じゃあお前も留守に出来るな。だったら此方に来いよ。俺が招待してやる。
B国という国があると噂だけは知っていた。
実は僕はB国に興味があった。
どんな国か見てみたいと思っていた。
願ってもない申し出に、僕は勢い込んで「行く」と答えた。
初めて訪れるB国。噂でしか知らない国。
地球のどの辺に位置するかも分からない。
特別便の飛行機が僕をB国に連れて行ってくれた。
空港に降り立てば、友達が迎えに来てくれていた。
久し振りに見た友達は生き生きしていた。
余程この国と相性が合うらしかった。
空港の中は僕の住むA国と何も変わった所はなかった。
駐車場に車が置いてあると言う。
駐車場までも何ら変わった所は見受けられなかった。
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