小説という名の日記A(栞機能無し)
12
大袈裟なまでにびくりと震えた体。
強く抱き締める腕。
俺はお前の視線の意味を知っていた。
いつも俺に向けられていた視線。
強くて熱くて痛くて。
俺を射抜くその視線の持ち主を俺も好きになった。
「だからむかついた。強姦までして俺を欲した癖に、それを認めようとしないお前にむかついた」
俺を抱き締めたまま、口を挟もうとしない木田。
俺の言葉の一つ一つを、何も言わず聞いている。
一字一句聞き逃さないように、そして心に刻みつけようとしている。
「なあ、何でお前に犯されたと思う?俺も男だ。だから本気で抵抗すりゃ、そう簡単にヤられねぇんだよ。まあ、三人がかりは抵抗も何もあったもんじゃないけどな」
簡単な話。
木田に犯された時抵抗しても、それは心底本気じゃなかった。
木田に抱かれたくないと思わなかった。
心の奥底では望んでいた。
けれど。
「だから許してなんかやらねぇ」
木田の体がまた大袈裟に揺れる。
俺を強く抱き締めたまま、体を震わせている。
「俺は最初からお前に聞いていた。何故俺を強姦した?と。だけど何も言わなかったのはお前だ。許してやるわけがねぇだろ」
きつく抱き締める腕。
肩の上の唇。
ごめん・・・。
小さな声が泣いている。
だからな。
「償え。俺の傍に居て俺を守れ。これから俺の傍にずっと居て、俺を守れ」
これが俺の最大の譲歩。
目を瞠る木田を視界が映した。
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