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小説という名の日記A(栞機能無し)
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だけどそれは。

「ねぇ、俺、どうなっちゃうの?まさかこのまま乗っ取られて、最後には死んじゃうんじゃないよね?」

その時期を見誤らなければの話で、可能性が全くないわけじゃない。

そう思い当たった時、初めて目の前で泣き縋る存在が心配になった。



それでも俺は自分がどんなに冷たい人間か知っている。

この心配は純粋に湧斗に対しての心配じゃない。
もし湧斗が死ねばフアルはどうなる。

最悪な事態。
それは嫌だ。
絶対に嫌だ。



「大丈夫だ。湧斗は死なない」

俺が死なせない。

「本当?それは俺だから?そうだったら嬉しい」

湧斗が全身で抱きついてくる。



俺は否定しない。
だけど肯定もしない。

湧斗が求めるもの。
口には出さなくても、態度や全身を使って表現してくるもの。

俺はいつもそれに気づかない振りをしている。
何故ならば、湧斗に同じ想いは返せない。



好きになってと訴えてくる。
同じ想いを返せと訴えてくる。
想いを与えていれば、いつか俺が湧斗を好きになると信じている。

けれども俺は湧斗と同じ想いになることはない。



一人で生きていくしかないファンタジーの世界の住人。
現実とファンタジーで何が違うか。

もしもファンタジーの世界の住人が現実で生きていくとすれば、それはもうファンタジーではない。
現実で生きてほしいと願うなら、ファンタジーという架空の世界と向き合わなければならない。

そしてそれは、現実の世界の住人を傷つけることになる。



今まで波風が立たないようにしてきた。
気づかない振りをしてきた。

きっと俺は、これから湧斗を傷つける。




















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