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小説という名の日記A(栞機能無し)
19



高校進学で条件を出した晴臣さんに、僕も条件を出した。

僕の出した条件は晴臣さんの条件に匹敵するもの。
いや、たぶんそれ以上。



「もし三年間誰とも親しくせず僕が卒業した時は、僕を解放してください」

そう切り出した僕を、言葉もなく晴臣さんは見つめてた。
僕の真意を探ろうとするかのように、僕の顔をじっと見ていた。

「高校を卒業したら働くつもりです。そしたらあなたと対等になります。高校を卒業しあなたから解放されたら、あなたに言いたい事があります。その時は僕の話を逃げないで聞いてください」



僕の表情から眼差しから、晴臣さんはその真意に気づいた。
僕の言葉の意味。

対等の立場。
言いたい事。

彼は僕の真意に気づいて明白に動揺した。
彼自身は必死に隠していたようだけど、僕も彼の変化を見逃すまいと見つめていたから、その動揺は簡単に気づけた。



承諾するか拒否するか、それは晴臣さん次第。

晴臣さんの中身は複雑だ。
常に相反する感情が存在している。

条件を出しながらも、彼は僕が進学することに内心ほっとしていた。
今の儘の関係を望んでいる癖に、今の儘の関係を壊したいとも思ってる。

止めたいのに止められない。
止めたいのに止めるのが怖い。

それが晴臣さん。



晴臣さんは臆病で弱い。
だから僕の出した条件を聞き、押し黙った。

「もし三年間の間に誰かと親しくしたら、一生このままでいい。あなたの檻の中に一生閉じ込められてもいい。これからの三年間、それは僕の覚悟です。だから晴臣さんも覚悟してください」

目を瞠った彼は、漸く決心が付き「分かった」と頷いた。





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