小説という名の日記A(栞機能無し)
5
「お元気でしょうか?
俺は元気です。
最近、木々の緑や空の色に目を向けられるようになりました。
それもこれも慎治さんのお陰です。
ところで、裁判の件ですが。
あれは本当の事です。
慎治さんがお礼を言う必要はありません。
見たままの事実を述べたまでです。
明らかに兄が慎治さんに突っかかっていってました。
結果は過剰防衛でしたが、その罪を償うために今服役されてるのでしょう?
だから罪を償ったその時には、その罪の意識から解放されてください。
こんな事を書いたら検閲に引っかかるんですかね?
これは大丈夫な範疇ですよね?
ところで、次の手紙ではもう少し砕けた文章で書いて貰えると嬉しいです」
『こんにちは。
俺も元気です。
文章自体慣れてないから、その辺は気にしないでもらえれば。
ところで、木々の緑、空の色。
何故俺のお陰かは分からないけど、俺も見たことがありません。
見たことがないと言うのは、しっかりと見たことがないという意味です。
学の手紙を読んで初めて空をちゃんと見てみました。
この敷地から見える空は青いです。
空は青いんだと知ってはいたけど、実感したのは初めてです。
緑も敷地内にあります。
雨が降った後は、水滴が光っていました。
ちなみに検閲、あれくらいは大丈夫です。
それではまた』
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