小説という名の日記A(栞機能無し)
18
夜十時、店内にはそこそこ客が入っている。
忙しくはないが暇でもない。
注文も時々入る。
この店には常連客も多く、今日の客の半分は常連客だ。
常連客は智行の愛想のなさを知っていて、笑顔を浮かべなくても文句を言わない。
反対に笑顔を浮かべれば驚かれる。
自動ドアが開いて「いらっしゃいませ」と声を出す。
入ってきた客には聞こえるか聞こえないか程度の大きさ。
だがその客には聞こえたらしく、智行の居るカウンターまでやってきた。
空いている椅子に座り小さく微笑む。
「来ちゃった」
悪戯っぽい言い方も何故か違和感がない。
「早速?」
達朗に店を教えてから三日経った。
いつか来るだろうなと思っていたけど、予想以上に早い。
「うん、此処、雰囲気いいね」
そりゃそう。
騒がしくもなく、廃れてもいない。
一度来れば常連客になりたくなる雰囲気。
「まぁね。注文は?」
メニューを渡すと、暫く見てからペペロンチーノ、と答えが返ってきた。
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