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小説という名の日記A(栞機能無し)
19



「高瀬が一緒に暮らしたいと思ってるんなら、それは無理かと」

その答えに、紘也は密かにほっと息を吐いた。

「それは気にしなくていい。俺を産んだ人に会ってみたいだけだから」



一緒に暮らしたいとは思わない。
今まで母親の存在を知らなかったのだから、例え紘也を産んだ人でも今のところ他人としか思えない。

写真で顔を見たことがあれば違ったかもしれないが、顔を見たこともなければ話したこともない。

何だそんな事か、と安堵すると同時に、聖が紘也を気遣ってくれた事が嬉しくなる。
安心したように口元に小さな笑みを浮かべた聖に、紘也は益々嬉しくなった。



「じゃあ、いつ行けばいい?てか俺、聖ん家知らない。出来れば会う前に一度、家の前まで連れて行って欲しい」

勘ぐられないよう、邪気のない笑顔と他意のない口調でお願いをしてみる。
紘也の心の内を知らない聖が、首を傾け考え込んでいる。

「そうだ、当日に待ち合わせすればいい」

それは紘也の望む答えではなかった。
だが聖の家を知るまでは変に警戒されるのも嫌で、力無く笑い頷いた。



日にちや待ち合わせ場所、時間など具体的な事をその場で決める。
休みの日に聖に会える嬉しさで、落胆していた心も浮上した。




















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