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小説という名の日記A(栞機能無し)
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征汰と暮らすようになって、少しずつ征汰を知っていく。

猫が好きと言っていた通り、猫を見かけると一目散に駆け寄り逃げられてがっかり肩を落とし戻ってくる。



料理好きと言うだけあって、毎日何か作っていた。
野菜炒め、卵焼き、スクランブルエッグ。
炒めたウィンナーも料理の内に入っていた。
創作料理も好きで、炒めたえのきだけをハムで巻いた料理もあった。

海老が大好きで、海老フライとエビマヨを作れた。
これは隼も凄いと思い、感嘆の声をあげた程だった。

肉じゃがやカレーを作れなくても、味噌汁が作れなくても、それらは立派な征汰の料理だった。



ただ毎日の献立を見ていると、仕事中昼休みに何を食べているのか気になる。
だが会社では弁当を頼んでいるとの事だった。

よく分からないが、給料天引きで会社の弁当を食べるという。
弁当を作ってないと言っていたが、食品会社なのだからもしかしたら作っているのだろう。
たぶん征汰は会社の説明が上手く出来なかっただけだった。



隼が歯磨きやら洗顔やら口に出したのが功を奏したのは間違いなかった。

毎朝顔を洗い歯を磨き、髪をといて仕事に行くようになった。
服も一週間同じ服だったのが、三日に一度の割合で換えるようになった。

ただ鍵は矢張り時々かけ忘れる。
何処に置いたか忘れて探す時もあった。

それは鍵だけでなく財布も同じで、置き場所を決めても其処に置くことを忘れていた。



働いてない隼が携帯を持ってないのは当然だが、征汰もまた携帯を持っていなかった。
この家には固定電話もない。
働くからには連絡先が要るんじゃないのかと言えば、就職が決まった時点では持っていたという事だった。

寮で暮らしていた時は持っていたが、一人暮らしだと携帯代が足りなくなるから解約したのだという。
余程一人暮らしに憧れていて、今まさにその一人暮らしを頑張っている。

征汰は一人暮らしに誇りを持っていた。





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あきゅろす。
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