小説という名の日記A(栞機能無し)
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「ソルア様はアルカの生きる意味そのものでした。アルカの未来そのものでした。だからきっとアルカはソルア様の代わりとなった」
もし本当にあの遺体がソルア様であるなら、アルカはきっと後を追います。
後を追う前にきっとソルア様の仇を討とうと、憎きドラグの前に姿を現すでしょう。
「でもアルカは一度としてその姿を見せなかった。炎で身を焼いた人物は、自分がソルア様だと叫んだそうです。あれがアルカでなくて何となりましょう」
シータはそう強く確信している。
「あの指輪はアルカがそれと気付かせずソルア様から手に入れたのでしょう。ソルア様がそれを知れば反対したでしょうから」
だからソルア様は生きて居られます。
そうシータは強く言い切った。
「ソルア様もアルカの死を悲しんだに違いありません。ですがソルア様ならアルカがどうしてそうしたか気付いてくださる筈です。ソルア様がアルカの生きる意味である事、そしてアルカの望みをソルア様ならきっと分かってくださる筈です」
だから私は信じています。
ソルア様がこの国の何処かに生きて居られることを。
いつか来るべき時期の為に耐えて居られる事を。
「きっとアルカの為に、そしてこの国の為に、ソルア様はラウシル様のお戻りをこの国の何処かでお待ちしている筈です」
そこにあるのはアルカという息子を持った母の絶対的な誇りと、ソルアの乳母としての絶対的な自信だった。
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