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小説という名の日記A(栞機能無し)
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「全く、あいつは何でいきなり気違いになったんだ。俺の血を引いてる癖に、体が入れ替わったとかどうすりゃそんな妄想を抱けるんだ」

精神的にも厳しく躾てきた筈だ。
自分が育てられたやり方で息子を育ててきた。
代々赤崎家は文武両道に長けていた。

孝太郎の息子の正季も当然そうでなければならない。
世間に顔向け出来ない不義の息子であってはならない。



「あなた、その事で話があるんですけど」

憤る孝太郎に美都子が探るように話し掛けてきた。
何だ?と視線を向ければ、躊躇いながら美都子が口を開く。

「正季が言ってた室井数馬って、本当に居るか調べられないかしら」

「何を言ってるんだ?まさかあいつの妄想を信じた訳じゃないだろうな」

美都子の突然の発言に驚愕し顔を顰めた。

だがそうではないと美都子が首を振る。
ならば何だ?と問えば、思い詰めたように口を開いた。



「私だって信じちゃいないわ。だけどあんなの正季じゃない。私達の子供じゃない。暴力は振るうわ言葉遣いは悪いわ、ねぇ、あんなの私達の子供じゃないでしょ」

美都子の言う事は尤もだった。
正季の年の離れた兄はまともに育って今は立派な社会人だ。
所轄は違うが孝太郎と同じ国家公務員として働いている。
それなのに正季は何だ?
あれが自分の息子かと思うと本当に情けない。
息子ではないと否定したくなる。



「だからあの子がああなったのは、その室井数馬の所為だと思うの。室井数馬があの子を良くない道に走らせたのよ」

なるほど、頻りに正季が言っていた名前が元凶の可能性もある。

「大量殺人とか無差別殺人とかぬかしてたな」

「そうよ、そんな事言うのって変でしょ?だから室井数馬が悪い道に引きずり込んだのよ。正季をおかしくさせたのよ」





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あきゅろす。
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