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小説という名の日記A(栞機能無し)
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こんなんでいいのか?

睡眠薬を飲んだ事がないから分からない。
渡された量はそれでも通常量を遥かに超えていた。

「飲んだことないんでしょ?だったらそれで大丈夫。それ以上渡したら俺の分が減っちゃうし」



一緒に死んでくれるんでしょ?
だったら晃弘から飲んで。
俺の目の前で飲んで見せて。

水の入ったペットボトルを渡された。

「航希」

名前を呼んで体を引き寄せた。
顎を掬ってその唇にキスをする。
薄く開いた唇。
ゆっくりと舌を入れ、そっとその舌に絡ませた。

航希は大人しく抱き寄せられていた。
唇を離した後も、静かに寄り添っていた。

「これを全部飲めばいいんだな」

頷く気配がした。

もう一度航希を見て、優しく頭を撫でる。
その後、晃弘は一気に錠剤を飲み込んだ。



「晃弘、聞こえる?」

遠い気がするけど聞こえてる。

「晃弘、ごめんね」

また謝るんだな・・・。

「だけど俺の分までやり直して」

だからそれは・・・。

「だって本当は晃弘のお父さんは死んでないんだ」

死んでない・・・?

「でも俺はやり直せない」

瞼の裏に浮かぶ光景。
少しだけ見えたあの部屋の映像。

「だから晃弘が俺の分までやり直して」

なぁ、航希。
もしこれで二人とも生きていたら、その時は・・・。

やり直そうぜ。

急速に声が聞こえなくなった。















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