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小説という名の日記A(栞機能無し)
33


猿もいろんな猿がいて、オランウータンや手なが猿、マントヒヒやメガネ猿、それぞれに個性があった。

孔雀の雄が羽を広げたのを目にした瞬間は感動した。
最初は広げてなくて、あの綺麗な模様が見れなかった。
諦めかけた瞬間に彼に呼ばれて、振り向けば孔雀が羽を広げていた。
暫くしたら閉じたけど、興奮した僕は何度も彼に綺麗と訴えた。

ライオンは昼寝の最中だったみたいで寝そべっていた。
でも百獣の王と言われるだけあって、堂々とした寝そべり方だった。
それを彼に言えば、どんな寝そべり方だよ、と笑われた。



「佑基、こっち」

薄暗い建物に引っ張られ、何があるんだろうとわくわくしながら入る。
彼が急かすから何が居るのか分からないまま、引っ張られていく。

「うわっ」

思わず声をあげて彼に抱き付いた。

長い胴体。ぬるぬる、ぬめぬめ。
蛇が蜷局を巻いていた。

何の心構えも出来てなくて、暫く彼に張り付いたまま動けなかった。

「佑基、手を放しちゃ駄目でしょ」

彼が再び手を繋いでくれる。
その楽しそうな表情が、してやったりと物語っている。

してやられた僕は情けないことに、彼から離れられなかった。
唯一の救いはお化け屋敷と違い、自分の足で歩けること。
ニシキヘビが動き回っていた時には、ガラスで仕切られているにも拘わらず、彼の手をぐいぐい引っ張って蛇から遠ざけた。



僕の睨みは威力がないらしい。
建物から出て彼を睨み付ければ、「よく歩けたな。えらい、えらい」と子供のように宥められた。
悔しくてもそれで機嫌が治るんだから仕方がない。

「次、行きましょう」

現金な僕は、彼の手を握り直して次へと向かった。





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