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サスペンダー




ある日,任務を終えボンゴレ邸に帰ると。

あるものが,俺を待っていました。


サスペンダー


『…何これ』

『見て解らねぇのか』

『いや,解るけどね?』


屋敷に戻ると,執務室に一箱の小包が置いてあった。なんだろうと思いガムテープを剥がすと同時に,俺の動きが止まった。


『ちょっと綱吉,これ何なのさ』

『そんなの俺が知りたいくらいですよ』


近くにいた雲雀さんが,その箱の中身を取り出し俺に問いかける。てかなんで俺に?そんなん俺が知りたいぐらいなのに。


『…いきなりこんなもの送って来て,跳ね馬は何がしたかった訳?』


『俺に聞かれても…ってゆーか,それの送り主ディーノさんだったんですか!?』

『書いてあるよ。もっとちゃんと見なよね。仮にもボスだろ?爆発物とかだったらどうしてたんだい?』

『…すいません』


反射的に謝ってしまった(その会話を横で聞いてたリボーンは笑いを堪えている)。

…というかディーノさんは本当に何がしたかったんだろう?いきなりこんなものを送りつけて来て,ある意味爆発物より深刻な問題だと思う。


『手紙とか入ってないの?』

『いや…入ってなかったと思うんだけどな―…って,あった』

『君,そんなんでよくファミリー引っ張って行けるよね』


グサグサと刺さる雲雀さんの声。もう言い返すのも諦めて手紙を開くと,日本語で書かれた"十代目ドン・ボンゴレ沢田綱吉とその守護者の皆さん"の文字。あぁ,この筆跡はディーノさんだ。
そんなことを考えながら,手紙を音読し始める。


『"久し振りだな,ツナ。ツナがボスになってから全然会えねーが,元気にしてるか?…この前ちょっと野暮用で日本に飛んだんだが,そしたらこのサスペンダーを見つけたんだ。それでなんか心惹かれちまってな。土産に買って来てみた。特に使い道はねぇと思うが,貰ってくれ"…だそうで』

『…馬鹿かい?』


手紙を読み終えた瞬間,ヒバさんが軽く溜め息を吐く。…いや,俺にそんなこと言われてもなぁ。
俺だって溜め息吐きたいよ,そう思ったその時。下の方にかいてある小さな文字に気が付いた。


『…あれ?"P.S.サスペンダーは将来の自分の子供に使わせるなり,守護者にあげるなり,好きに使ってくれな"って書いてあります』

『そっか,アイツは馬鹿だったね』

『今更確信か,雲雀』

『てゆーか俺等の歳でサスペンダーって…』

『流石にキツいな』


本当,あの人は何を考えているんだろうか。
ブチ切れ寸前の雲雀さんと,ニヤニヤ笑うリボーン。あぁもう,この2人を(あ,サスペンダーもといディーノさんもか)俺にどうしろっていうんだ!


『ただいま帰りました十代目!!』

『任務完了なのなー』

『クフフ…やはり殲滅後は気持ちいいですね』

『極限に今帰ったぞー!!』


…と,1人悶々と悩んでいた頃。今なら救世主とも言えるであろう…守護者達が現れた。


『(あぁ丁度よかった)おかえり皆。…お疲れの所悪いんだけど,これどうすればいいと思う?』

『はい!十代目の疑問とあらば解決するまで―…って,これ…なんですか?』

『サスペンダーっぽいですね』

『あぁ,うん。それについての話なんだけどさ。さっきディーノさんから(これが)届いて…どうすればいいと思う?』

『これを僕達に使えってさ。…てゆーか群れすぎだよね,此処』

『それは極限に疑問だな!』

『僕の呟きはスルーされるんだね』


思い思いの発言をしつつ,疑問の品を覗き込む守護者達。…てゆーか熱気が…マジで群れすぎじゃないだろうか。
なんかいろんな意味で逃げたくなってきた時,今まで黙っていた山本が口を開いた。


『サスペンダーっつったら,アレだよな』

『『『『『『あれ?』』』』』』


思わず皆のセリフがピッタリ揃う。あぁ,やっぱり困った時の山本だ!


『ほら,誰かが付けてるのを後ろからバッチーンってやるの』

『…え?』


一体どんなアイディアが来るのかワクワクしていた守護者が,その発言で予想外の口ポカン。てゆーか俺もそんなの初めて聞いたぞ。


『やらないのか?楽しいよな,あれ!』

『…聞いた事ねぇぞ』

『君,サスペンダーの用途知ってる?』

『ん?そーやって遊ぶモンだろ?』


小さい頃に親父に聞いたぜ!と笑う山本と,もうどう反応していいのか分からない俺達。え,ちょ,マジでこれどうするべきなんですか?


『なんか…僕もう疲れた。部屋戻るよ』

『僕も同感です。綱吉くん,その天然記念物並みに天然な山本くんにサスペンダーの用途を教えてやってください』

『え,ちょっと!2人共!!』


山本にやる気を削がれたのか何なのか,急に脱力して自室に戻り始める守護者2人。…いや,いつものパターンだし,解ってはいたんだけどね…?


『なんでドサクサに紛れて皆戻ろうとしてんのー!?』

『…俺はパスだぞ』

『すみません十代目!でも今回は野球馬鹿にかける(罵りの)言葉がなくて…!』

『うむ,流石の俺も戦意喪失でな!』


そう言ってそそくさと去って行った守護者達(薄情者め!)。部屋にポツンと残された,固まった俺と首を傾げる山本。…だからこの状況を俺にどうしろっていうんだ!!


『ツナ,皆行っちまったけどいーのか?』

『うん,もういいよ…山本も今日はもう部屋に戻って休んでていいよ』

『疲れてんのか?』

『うん…ごめん…もう1人にして…』

『?お大事にな?』


それに頷いて,パタンと閉まったドアに背を向ける。…あぁ,疲れた。


『俺は何処でファミリー作りを間違ったのかな…』


そう呟いて,ダンボールにガムテープを貼り"送り返し"の文字を書いた。



―――――

遅くなって本当にごめんなさい楠太ッ!!
しかもなんか纏まりない!突き返し可ですので!

設定としては…+6年くらいですね。中学生の時と変わらないノリで行ってみました。
ツナが哀れな上に山本が…ちょ,天然すぎる!




あきゅろす。
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