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狭い闇の中




―…此処は,暗い。

此処にあるのは歴史であり記憶であり,今此処にいるのは俺であって俺じゃない。

―…此処は,狭い。

実際身体なんて呼ばれる器はないのだから,あまり関係はないのだけども。
此処にいるのは,俺だけど俺じゃない。
身体が在る訳でもなく,だからと言って魂が在る訳でもなく。
ただ"ボンゴレの歴史"として。大空のボンゴレリングに"記憶"として残っている。


『セコーンド』

『…なんだ』


暗闇で見えないが,隣にいる筈の男に呼びかける。…すると暫くの沈黙の後,面倒臭そうに返事が返ってきた。そんな当たり前の事に少し安堵しながら,思った事を尋ねてみる。


『俺…達は,なぜ…此処にいるんだろうか』


身体も魂もなく,ただ記憶として今此処に存在している俺はなんなのだろうか。
ファミリーを創ると云う名目で,自分の為に俺は何人罪のない人間を殺したのだろう。
殺さないで,と叫ぶ血塗れを,俺は無視し続けた。
闇の中にいると,俺のせいで未来を失った人間達の姿が脳裏にハッキリ蘇ってくる。


『俺は,瞳から光の消える瞬間を…何度見たのだろうか』


この,嫌によく響く声のように…俺の頭の中で"殺す瞬間"の音が響いている。
俺がドン・ボンゴレという地位を去ってから,一体どれくらいの月日が経ったのだろう。


『…またそんな事を考えていたのか。そんな事,考えたって何も変わらない』

『でも…な』


"最強"と云う地位を手に入れる為,心を捨てたつもりだった。
それなのに…"殺し"と云う事実は,いつも俺に付きまとっていた。


『それは強さを手に入れる為の代償だ。何の代償もなしに,強さは手に入らない。…その事はお前が一番理解している筈だ』

『……』


沢山の人を殺して,強さと地位を手に入れた…が,結局俺は,何がしたかったのだろう。

記憶として自分を残して。

時期後継者に,ボンゴレの業を受け継がせて。


『わからない…んだ』


ポツリ,呟いた瞬間 ポゥと辺りが明るくなった。これは…


『来る…な』

『セコーンド…』


以前にも何度か,こんな事はあった。


『時期後継者…デーチモか』

『あぁ』


ドン・ボンゴレになる為の,試練。その時のみ,此処に光が差し込む。


『…会うか?ジョット』

『当たり前だろう』

『……見つかったのか,答えは』

『あぁ…見つかった』


…ボンゴレの業―…否,ボスになる為にこの苦しみを俺達と一緒に背負ってもらう。…俺達のした事を,忘れないように。


(それじゃないと,俺達が此処にいる意味がない)


『…とりあえず,デーチモに会ってみようか』


そう言って立ち上がった。


――――――

…何がしたかったんだ私!!
えーと,時間軸としては…未来編の試練の所なんですけど…伝わりましたかね?
まとめると,ボスになるのは容易じゃないって事です(ぇ

…単にT世とU世を絡ませたかった,っていうのもありまs(殴
他の人も喋らせたかったなぁ…




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