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世界の中心を求める式は。




身勝手にも程がある。

でもそれを許してしまう僕も,ある意味病気なのかもしれない。






『ひーばりさん』


いつもどおり,屋上で昼寝をしていた僕は,授業の終わりを告げるチャイムと共にやってきたその声で起こされた。
目を開ければそこには,僕の顔を覗き込むようにして見ている沢田綱吉がいた。


『そんな格好で寝てると風邪引きますよ?』


呆れるように笑うその顔に,若干ムカつきを覚えながらも体を起こす。それと同時に,僕の隣にしゃがんでいた沢田も少し後ろに下がった。


『何してるの』

『雲雀さんと一緒に帰ろうと思って迎えに来ました』

『…は?』


尋ねれば,ニッコリ笑って答える沢田。…ちょっと,状況が読み取れないんだけど。


『なんで』

『俺が雲雀さんと帰りたいと思ったからです』

『……』


…えーと。取り敢えず落ち着け僕。
でもいくら考えたって,沢田がいきなりそんな事言い出したことはない。確かにダメツナ装い裏では何考えてるか解らない奴だけど…


『…僕何かしたっけ』

『してませんよ。まぁとにかく一緒に帰りましょう』

『僕今日委員会あるんだけど』

『サボればいいじゃないですか』

『仮にも委員長なんだけど』

『知りませんよ そんなの』


ニコリ。笑う沢田とは対照的に,僕の顔はたぶん引きつっているだろう。


『ほら,帰りましょ』


そう言って僕の手を引っ張り,ズルズルと引きずられるようにして屋上を後にする。無抵抗の体は秒速1メートルの速さで引きずられている。…てかちょ,このまま行ったら階段じゃないか?
慌てて腕を振り解こうとするが,抜けない。


『ちょ…っ!沢田!離して!』

『嫌です』


この子こんなに力あったっけ。抗う僕をスルーして,そのまま階段を織り出す沢田。一方僕は後ろ向きに引きずられている。最初の何段かは降りれたものの,それを横目で見ていた沢田が突然スピードアップしやがった!当然ガクンとバランスを崩した僕は,沢田に掴まれていた腕によって戻―――


『…え』

『あ。手離しちゃいました』


手を挙げる沢田と,重力に従いそのまま階段から落ちた僕。当たり前のように踊り場まで真っ逆さまにいった僕は,案の定壁に頭をぶつけた。


『…ーっ…』

『だいじょぶですか雲雀さん』

『ちょ…っふざけないでよね…大丈夫に見える訳?』


心配したような言葉をかけてくるけど,表情はものすごく笑いを堪えてる。今ならコイツ殺せる。絶対嬲り殺してやれると思う。


『そんだけ喋れるなら大丈夫ですね。痛い所は?』

『ちょっと,これが大丈夫に見える訳?君の脳を解剖してやりたいよ』


ぶつけた頭を抑えつつ(これ絶対たんこぶになってる)起き上がれば,沢田が楽しそうに笑っている。ちょっと,こっちの気持ちも考えてくれないかな。


『すごい顔してますよ雲雀さん』

『傷も僕の気分も君のせいだよ。責任とって欲しいんだけど』

『え,俺好きな子いるんで雲雀さんを嫁に貰うのは遠慮しm『何言ってるの君』ははは,冗談ですって』


トンファーを出して首筋に当てれば,慌てる様子もなく笑う。あぁ,頭から突き落としてやりたい。
そんな事を思っていたら,頬にふと柔らかい感触があった。


『…何してるの』

『責任とりました』

『意味が解らないよ』


キスされた,と気付くまでに数秒かかった。
見れば沢田がすぐ近くで笑っている。意味のわからないセリフと共に,手がさし伸ばされた。


『さ,帰りましょうか雲雀さん』

『…引きずらないならね』


僕の言葉にふっと笑った沢田を見つつ,その手を握り締めて立ち上がった。



―――――


…ごっ…ごめんなさい雲雀さん!!!
いや,こんなつもりじゃなかったんですよ!?もっと綱吉さんはフワフワしてた筈なのに!
自分でもわからないです。←





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