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Screw Driver





いつもの時間,いつもの店。扉を開けるとしっとりとしたジャズが流れてきて,心地よい気分になる。そしてまたいつものようにカウンターに座ると,隣にいつもの女がいた。

黒髪,紅蓮の眼。今日もまた黒のドレスに身を包み,瞳を閉じてジャズを聴いている。

…ただひとつ違ったのは,今日はその女のグラスが空だったって事だ。



『スクリュー・ドライバーを頼む』



バーテンに一言だけ言って,俺もジャズに耳を傾ける…動作で女を見やる。その女もいつもと変わらず…俺の視線になんて気付いてすらいないようで目を瞑っている。薄暗い店内で長い睫毛が頬に影を落とす。その場の雰囲気からかなんなのか,それは不思議な妖艶さを感じさせた。

―綺麗だ。そう思ったその時,バーテンが無言で"女の前に"グラスを置いた。



『!』



コトリと目の前に置かれたグラスに,女が一瞬驚いた顔をする。そして少し間をおいて,グラスに口をつけた。




『お一人ですか お嬢さん?』



囁くように話しかければ,次は女が笑う番だった。



『私を口説くの?』



唇が妖艶に弧を描く。やっぱり俺の好みだな。そう思った瞬間,俺の頬に何かが触れた。



『また随分古風な手で来るのね。…業界一のヒットマンさん?』


『!!』



今度は俺の驚く番だった。ゴリ,と頭に金属が当てられ,ボルサリーノが宙を舞う。
女の手は俺の頬と銃の引き金。それに対して俺の手はカウンターと膝の上。女の瞳を見る限り,この状態じゃ下手に動けなさそうだ。
大人しく撃たれるか,それとも抜くか。そう思った時,硬い感触が消えた。



『!』


『…でも,折角口説いてくれたんだものね。どうせ殺すなら―』





―夜を楽しんでからでもいいものね?


タンブラーが重力に従い,落ちていくのが見えた。





――――――

…何がしたかったのかよく分からない突発品。
草刈りしてて浮かんだネタというw
まぁとにかく,リボさんがスクリュー・ドライバーで口説こうとすんのを書きたかったのさ!←

そしてイタリア語のEの上に点(こんなのё)が出ない悲劇。





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