『ねぇ,綱吉』
深夜。書類整理をしている綱吉に話しかけると,"何?"と声だけで返された。
『闇…綱吉は,夜が好き?』
『…は?』
じっと綱吉を見つめていると,数秒後に間抜けな返事が返ってきた。
『何だよ,いきなり』
『いや…夜,好きかと思って』
『んー…好き,だよ』
『どうして?』
下から覗き込むようにして綱吉を見る。すると彼は,ようやく書類から目を離した。
『暗闇が嫌なことを全部飲み込んでくれるみたいだからさ。なんか…落ち着くっていうのかな?』
『へぇ…』
『レイは?』
彼らしくない返答に関心していると,質問で返された。
『私…?』
『うん』
答えるのに戸惑っていると,彼の真っ直ぐな瞳が自分に向けられる(その瞳で見られると,"答えなきゃ"って思うの判っててやってるのかな)。
『嫌い…かな』
ポツリ,と呟いた言葉に綱吉が目を丸くする。
『暗いとこは…嫌いじゃないけど,夜の闇には全部飲み込まれちゃいそうで…怖く,なる。…それが心地いい時も,あるけど』
"どっちか分かんないね"と笑うと,綱吉が口を開いた。
『俺…は,好きだよ。自分の嫌いなトコとか,全部消してくれるような漆黒が』
笑っているのに,どこか寂しそうな綱吉の顔。それを見てると,こっちまで悲しくなってきそうで,目を逸らした。
『…でも,レイが怖い時は,俺も怖いな』
『…へ?』
意味不明な発言をする綱吉。振り向こうとすると,後ろから抱きしめられた。
『レイが怖い日は,俺も怖い。…だから,怖い夜は―…』
『…っ…』
赤面する私を見て,綱吉がニヤリと笑うまで,あと1秒。
俺のところに,来て
(耳元で囁かれた言葉は,熱く胸に響いて)
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