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さいごのとりで.

全てを祝福するように花が舞う。美しいいろに染まってゆく。
人々は楽し気に笑って、彼等の婚儀を祝い喜んだ。


「アリシアの占い、本当に当たったんだ」


記憶を喪失した青年が白いドレスに身を纏った少女に口付ける、誓いのシーン。
アルヴァーナの占い師は言った。きっとふたりは永遠に幸せだと、ずっと前から、決まっていたように何度も。


「言ったでしょ?私の占いは絶対当たるの」
「疑ってた時期が嘘みたい」


天気しか当たらない、何て思っていたのに。
ジェイクとセシリアの相性を当てて、仲の進展しなかったレイとロザリンドの背中を押して、カイルとドロシーの恋を言い当てた。
その後、バレットがユエに慰められる場面を目撃して、予てからの予想通りマックスとジュリアが儀式を行なう。
まるで仕組まれていたかのように、全部、アリシアの占った通りになった。


「ねぇ、アリシア、あたしは?」


成就しない、想いだと解っていた。先生になる夢よりも、遠くて儚いもの。
女の子が女の子を好きになる、何て。
誰も背中を押してくれないし、きっと祝福だってしてくれない。ああやって、派手に儀式を行なう事の永遠にない関係。公にも、きっと出来ない。
ずっと、誰より一番近くに居たのに。それなのに、みんなみたいにドレスを来て、何かに誓う事の出来ない背徳。


「私とマナの事は今更占う必要ないと思うけどな」
「えー、必要あるよ、これからの事とか」
「だって、私たちはずっと一緒でしょ?」


震える指先をアリシアの掌がやさしく包み込む。言えないでいたの。
お父さんは結婚なんて許さないってずっと言っていて、セシリアにはジェイクが居て。だから、3人で一緒に遊んでいても胸が苦しくなるくらい、好きなひとがいるんだってこと、言えなかった。


「マナはうそ、下手だからさ、私知ってたよ」


耳をくすぐる声が温かくて。離れた所で行われている結婚式が遠い世界のおとぎ話みたいに思える。
拒絶されるんじゃなくて、理解して触れてくれるなんて。まるで、ゆめを、見ているような感覚。


「あたし、あたしね、」


みんなそれぞれ歩き始めても、この気持ちを斃せなかった。
手が触れたら、声を聴いたらそれだけで。

大地揺るがす者に背いても、世間に弓を引く事になったとしても。


「ずっとずっと、アリシアと、一緒にいたいの」
「だから、占わなくても全然平気だって言ったじゃない。ふたりとも同じ気持ちなんだから」


彼女がそう言って笑ってくれたから、心がふわふわして何処かくすぐったい。
漸く、胸の中で燻っていたものを解放出来て、心が軽くなった様。
アリシアが言葉にするだけでずっと一緒に居られる確証になる。言霊って不思議だ。


「アリシア、だいすき」


そう口にしたら、きっと昨日よりもっと好きになる。
繋いだ手をさっきよりもう少しだけ強く握って、祝福の海に身を投げよう。幸せがもっともっと広がって、アルヴァーナを包んでゆけばいい。











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22.4.7.村棋沙仁


リバみたいになってしまった;







あきゅろす。
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