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「佐助様。」
私がそう言って部屋におられると思われるその方の返事を待つ。暫くして入ってと言う声が聞こえて私は静かに障子を開ける。

「俺様に何か用?」
部屋ではクナイの手入れをしておられる佐助様の姿がお見えになって、私は頭を下げて少し微笑む。

「幸村様がお呼びですよ」
そう言えば佐助様は溜め息を大きく一つを吐いてから旦那ったら!と呆れた様子でおっしゃってから部屋を出て行かれたのでした。






「旦那!どうしたの?」

「佐助・・・・某、甘味が食べたいで御座る」
鍛錬の後のせいか幸村様は疲れた様子で縁側に腰掛けておられました。

「しょうがないな! でも沢山食べさせないからね!!」

「・・・うむ・・・・」




毎日そんな微笑ましい日常を送っておられる真田主従ですが、そんな事が続く訳もなくすぐに戦に向かわれたのです。

戦が又一つ終わり無事帰って来られたと思えば、幸村様も佐助様も傷だらけのお姿で慌てて治療に取り掛かったのでした。


「佐助様。」
幸村様は素直に傷の治療をさせていただけたのですが、佐助様はいいと言って部屋に帰っていかれます。
私が止めようとしても一瞬のうちに消えて何処かに行ってしまわれるのです。

私は傷が気になってしかた無かったので、無礼ではありますが佐助様のお部屋に入って頂かせて待っておりました。

しかし、刻は次々と去っていき夜も更けてきた頃に私はついうとうととしてしまいました。
「いけない・・・・」
そう言って自分をたたき起こしてひたすら佐助様の帰りを待っています。

そうは言っても眠気に襲われてしまい、私はその場で眠ってしまったのです。


 

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