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ふと、名前を呼ばれた気がして振り返る。そこには嬉しそうに笑っている彼女がいた。
俺は口元が緩まないようにぐっと引き締める。


「どうしたのだよ」

「ううん、呼びたくなっただけ」

お前はいつもそうだな、と頭を撫でてやると嬉しそうに笑い声を漏らした。
犬みらいな奴だな、と思ったが口には出さない。


「ねぇねぇ、真太郎くん」

「なんなのだよ」

今度こそ何か用事があるのだろう、じっと俺の目を見ていた。
相変わらずお前は可愛いな、なんて意地悪く言ってやってもいいがそうすると彼女は俺の背中を思いっきり叩くから今は遠慮しておいてやろうと思う。


「この前真太郎くんがくれたネックレスつけて欲しいんだ!」

「なぜだ。自分でつければいいものを・・・」


くいっ、と眼鏡を指で上げる。きっと彼女は俺のこの行動が照れ隠しだということを知っているに違いない。
くすくす、と楽しそうに笑みを漏らしている。


「お願い、彼氏さん」


「・・・・仕方ない」

貸してみるのだよ、と言ってこの前贈ったネックレスを受け取る。
そして長い髪を上げると彼女の甘い香りと白いうなじが見えた。それにむんむんと性欲を掻き立てられるが我慢だ。
それぐらいで彼女を求めても彼女が困る。


「付けたぞ」

そういうと彼女はくるりと反転して俺と向かいあう。
嬉しそうな顔をしている。


「どう?似合ってるかな?」

何度目かも分からないこの言葉。
それがネックレス以外のものだとしても必ず彼女は俺に問いかける。

そして、俺も同じように頷くのだ。






ネックレスの似合う細い首
(飽きないやり取りだな)
(・・・・そうだね!)

0917拍手より
 


あきゅろす。
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