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今日は4月1日。


つまり、エイプリルフール。








私はルンルンとスキップしながら鼻歌を歌っていると、体育館から聞こえてくるバッシュの音と掛け声、それにボールをつく音が耳に入ってくる。

私はその音にニコニコと笑みを漏らす。
今日は盛大に嘘を付いてやろう、と私の心の中で考えているから。

勿論大好きな彼氏に。



「なんて言ってやろうかなー」

んー・・・と伸びをしながら真っ青に晴れ渡った空を見る。
いっつも騙されてるんだし、いいよね・・・?



「名前ー! 早く洗濯物持ってきてー!!」

そんなことをぼんやりと考えていると遠くからマネージャーの先輩の呼ぶ声が聞こえてきた。

あたしは急いで洗濯物を籠に放り込んではーい、と返事する。








「和成ー! お疲れ様!」

夕日が綺麗に見えるようになった頃、秀徳男子バスケ部の練習は終わって、私は彼氏に飛びつく。

「おー、名前! お前もお疲れさん」

和成はぎゅっと私を抱きしめてくれから、頭をよしよしと撫でてくれた。
私はニコニコと笑ってそんなことないよー、と返す。


「はいはい、バカップルはさっさと帰ってくださいねー」

隣りをマネージャーの先輩が笑いながらシッシッと手でやってみせる。
私は笑いながら平謝りしてさよならー、と挨拶する。


それから私と和成は手を繋いで玄関まで向かう。
勿論隣りには緑間君がいて、後ろには三年の先輩達が続いていた。



「あ! そうそう、和成!」

ぎゅっと繋いでる手に少し力を込めて彼を見る。


「どした?」


「突然だけど妊娠しちゃった。」


真剣な顔で言う。
すると和成は歩みを止めて私を見ている。
隣りにいる緑間君や後ろで聞いていたらしい宮地先輩も口を開けて立ちすくんでいる。


私は笑わないように、ぐっと堪えて彼らを見ている。


「はい嘘ー・・・・・ってな訳ねーよな・・・?」

ポリポリと頬を掻きながら和成は言う。
私はコクリと頷いてみせる。


「てめっ、高尾! どうすんだよ・・・刺されたいの?」

ん? と先輩が後輩に対して向ける態度ではないような感じで(なんと言うか、物凄く黒いオーラが・・・)和成の肩を一方的に組む。

「なんで刺されないと・・・!? 何!! 真ちゃん!?」

バチンといい音をたたせて緑間君が和成を叩く。

「不謹慎なことを「てか高尾いつの間にマネージャーとヤってた訳!?」

「部活に支障出すんじゃねぇーよ! あほ高尾!」

「いって、すいません・・・・!うっ」

「てかその前に責任取れよ!」

「いや、取るのは全然・・・てかむしろ嬉しいん・・「あはははっ!」


先輩と緑間君に叩かれている姿はまさにリンチ状態で、私はつい笑ってしまう。

「・・・・名前・・・・?」


皆固まっている中、和成の体がブルブルと震えている。


あ、ヤバイ、

そう思った瞬間私は走り出していた。

「ごめんってばぁー!」





ガッシ!ポカッ!
(いったー! 和成のあほー)
(名前が悪ぃんだろ!)

(だって今日はエイプリルフールだもん!)


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