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1(※喜怒哀楽のヒロイン)


「名字さんってやっぱり緑間くんのこと好きなの?」

最近仲良くなった友達にそう言われる。
あたしはまたか、と小さく溜め息をついてから否定する。

中学に入って嫌になるぐらい言われ続けてきた言葉。
いや、中学に入ってからじゃない。
もう物心が付いたときには言われてた。(幼稚園から)
緑間は綺麗な顔してるからモテてたなあ・・・
その頃から仲の良かったあたしが嫌になるぐらい妬まれたもんだよ。

別に好きでもないのに。



「えー? てっきりあたしは好きなのかと思ってた」

「どこをどう見て!?」

ばん、と勢いに任せて机を叩く。
友達は目を見開いて驚いていてあたしは小さくごめん、と言う。

「・・・・でもさ、あたし緑間のことは何も思ってないよ。これは本当」

そう、ただ家が隣りでたまたま同じ学校に行って同じスポーツしてて同じポジションなだけ。
たまたまが有り得ないぐらい重なっただけ。


「そういう風に見ていたのか、名前」

「うわぃっ!!?」

目を瞑って頬杖をついていたけど、ぱっと目を開ければ緑間がいてあたしは奇声を発する。
と言うか飛び退いた。


「・・・・そういう風って・・・それ以外にどういう風に見るわけ? 好きでもないのに」

眉を顰めながらあたしははっきりと言う。
別に嫌いではないけど。

だって、ギャルっぽい人にリンチみたいなことされるのだってあんたがカッコイイ顔してるからであって緑間本人がやってることじゃない訳だし。
やっぱりそれで嫌いになるのは気まずい。


「・・・・そうか、俺は名前がきらいだ、ばか」

「・・・・うん。やっぱりね」


頭を掻きながらそうだよね、なんて笑う。
そうかー、嫌いかー あたしのこと。

何となく寂しさを感じる。
幼馴染だから嫌われることなんて無いと思ってた。


緑間の言う通りあたしはばかだ。


「・・・・ね、だから言ったでしょ?」

気を逸らすために友達に言う。
友達も気まずそうに頷いた。


「あ、ちょっと忘れ物したからゆうひから借りてこようっと!」

だっと走って教室を抜け出した。




矛盾点ばっかり
(ばーか)(頭いいけどあいつ)
(嫌いだ)(でもやっぱり好きなのだよ)


中学校の時の帝光中でのお話。
この話の後、連載と繋がる感じですかね。

2/7
 


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