Dear
ジノ×スザク
(甘々ジノスザ)










今日はスザクの誕生日だ





私は張り切ってプレゼントや花を用意した


(喜んでくれるだろうか…)




任務から戻ってくるスザクを待ち伏せする。

わくわくしながら廊下に立つ私を、すれ違うラウンズのメンバーが不思議そうに眺めてきた





にやけるのを抑えきれず、口元を掌で覆う




「…何してるんだい?」


「!…す、スザク…」



後ろから声を掛けられ、体が跳ねた。
スザクは私を不審げに見つめている
くりくりした翠にどきんと胸が高鳴った
スザク!スザク今日も可愛い!スザク…!



「待っていたぞスザク!こっちに来てくれ」



思わず大きな声が出てしまい、スザクは吃驚したようだ


私はお構いなしにスザクの手を取ると引っ張るようにして歩き出す



「痛いよ…なに?」



驚かせたいので何もこたえなかった。


私が何も喋らずに、にこにこしながら手を引っ張るものだから、スザクは眉を寄せて苛立ちを露わにしている



(もうすぐだぞスザク!)



漸くスザクを私の部屋の前まで連れてくると、スザクに向き直り、扉を開けるのを促す


スザクはイライラした様子でばん、と強めに扉を開いた







瞬間

私たちの目に飛び込む、薔薇、薔薇、薔薇




部屋中赤で埋め尽くされている。


中央のテーブルにはシンプルな苺のショートケーキが用意してある



私はスザクの反応が楽しみで、ドキドキしながらスザクを見た。
100本の赤いバラも、甘さ控えめのケーキも、全部お前のために用意したんだ!







「…なんかあったの?」

「は?」




スザクはけろりとした顔で私を見上げてきた






(まさか…)
(喜んでもらえてないのか?)



理解した途端、今までの幸せな気持ちが急変し落胆へと変わった。

私は今どんな顔をしているのだろう




スザクが心配そうに私を見つめるのがわかる
それが余計私の傷を深くさせた



くらくらしてきた…

なんだか倒れそうなので、覆い被さるようにしてスザクを抱きしめる



いつもなら殴られたり蹴られたりするのだが、今は不思議とそのままで居させてくれた



(いいにおい…)


私はスザクのにおいが大好きだ。くんくんかぎながら鼻でスザクの髪をかきあげる



「ハッピーバースデー、スザク」



耳元で囁くようにして呟いた



スザクの肩がピクリと震える。私はぬくもりに酔って、抱きしめる腕に更に力を込めた



「…っ」



耳元で息をのむ声がした
スザクの震えは止まらない。
私は不思議に思って、ゆっくりと体を離してゆく



「!」



スザクが涙目で俯いていた。
ふるふる肩を震わせて、必死に涙をこらえる様はなんとも愛らしくて、

こんなこと口に出さないが欲情した



「ど、うした、スザク?どこか痛いのか?」



本音を隠して慌てて問いかける。軽く屈みこんで目線を合わせようとした



「………僕、」


「ん?」






「僕……誕生日なんて、忘れてた、よ…」



え?
誕生日を忘れてた?

私は思わぬ真実に一瞬固まった。



「…それに、こんなお祝いも…久しぶりで…」



スザクは涙で喋りづらそうに言葉を続ける
先が出てこなかったのか、今の気持ちを表す言葉が見つからなかったのか、

顔を上げ、照れながら困ったような笑みを見せてくれた




ずくん、と胸が高鳴る
(可愛すぎる…)




「スザク!」
「わっ」



勢いに任せて再び小さな体を抱きしめる



そしてもう一度呟く






HappyBirthday!スザク!







「でもバラはこんなにいらない」
「!」


end
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素敵企画に参加させていただき有難うございました!千春です。
スザクの誕生日なので甘いのを目指しました!普段は糖分控えめなのを書いているので楽しかったです(´ω`)
スザクは自分の誕生日を忘れてるイメージです。ネタ被ったらサーセn

スザク誕生日おめでとう!!また来年もお祝いするよ!


千春






題:Dear
著:千春様


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