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私は入学する前から入りたい部活がありました。それなのにいつの間にか勝手に剣道部のマネージャーになっていたのです。
なんでかって,そんなの総悟君のせいに決まっています。



ファイルに入れていたはずの入部届けの用紙が無くなったので探していた私は,なぜか剣道部の顧問だと名乗る女の先生に武道場まで連れていかれました。
意味のわからないまま武道場に入ったら,そこには部員達とたくさんの女の子達,そして私の天敵の総悟君。彼は右手に見覚えのある用紙を持って私の方に歩いてきました。



「総悟君なんで私のっ……」



「今日から雫は剣道部のマネージャーでさァ。しっかり働いてもらうから覚悟しとけィ」



ほらまただ。先生がよそ見をした瞬間に総悟君はニヤリと笑う。



「や,やだよそんなの!だって総悟君いじめ…いひゃいっ」



「雫に拒否権なんてありやせん。ね?先生」



また私の頬をつねった総悟君は先生に,男の子にこんなこと言うのは失礼だけど,なんともかわいい笑顔を向けました。私に向ける笑顔とはまったく違います。



「沖田君もこう言っていることだしお願いしてもいいかしら?」



先生,しっかり騙されてます。
お願いしてもいいかしらなんて聞いているくせに私の肩をがっしり掴んで離してくれない。おまけに目が笑ってません。



「河原さん,いいわよね?」



「…は,い………」



私の口から出てしまったのはYESという返事でした。



ちらりと総悟君を見れば「ちょろいもんでさァ」と満足そうな顔。



こうして,私のかわいそうな中学校生活が幕を開けたのでした。





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