アンケート二位作品A
その夜──拓巳の家で集まった村人の主催による水樹の歓迎会が行われた。
酔った村人が陽気に水樹に話しかける。
「こんな辺鄙〔へんぴ〕な村で驚いただろう、でも自然だけは都会に負けねぇ……ゆっくりしてくれよな」
「はぁ、どうも」
水樹は歓迎会に集まった村人が、全員男性だけなコトを不思議に思い。疑問を感じていた『男嫁』について質問してみた。
「男嫁ってなんですか?」
冷たい空気の沈黙が少しあってから、村人の一人が口を開く。
「知らないで、ここにいるのか」
「拓巳、ちゃんと話していないのか……オラたちは、てっきり承知しいるもんだとばっかり」
拓巳が村の男たちに頭を下げる。
「すみません、言いそびれたまま連れてきてしまいました……これから、水樹に説明します」
水樹の手を握りながら説明する拓巳。
「この村では、若い男が花嫁になって男と婚礼をする奇妙な祭りがある。花婿は男嫁を村の外から選んで連れてくる義務がある。
今年花婿に選ばれたオレは水樹を男嫁に選んだ、先に言わなかったのは悪いと思っている……ごめん、村の奇祭のために『男嫁』になってくれ。婚礼の真似事だから」
いきなりの奇祭の話しに、少し悩んだ水樹だったが拓巳の「本当に結婚するワケじゃないから……男嫁には、村からのいくらかのお祝い金が出るから」の言葉に男の嫁を承諾した。
「わかりました、先輩が困っているならオレ協力して男嫁になります……祭りはいつなんですか?」
「三日後だ」
「三日後!?」
水樹は拓巳の言葉に少し動揺した。
その夜──水樹は奇妙な夢を見た。
声も出せず、体も動かせない状態で自分が寝具に横たわって眠っているコトだけは自覚している不思議な感覚の夢だった。
水樹には眠っている場所は、拓巳の実家の客間で、並べられた布団に拓巳がいるのが気配でわかった。
部屋の襖がスウーッと開き、数人が部屋に入ってきた気配がした。
蛍光灯が点けられ、目蓋の裏が明るくなった部屋で、男たちのヒソヒソ声が水樹の耳に聞こえてきた。
「よく眠っている……本当に何をしても起きないんだろうな」
「『蛇神さま』の眠り薬だからな、薄っすら意識があっても全部夢の中の出来事だ……朝までグッスリだ」
「拓巳、本当にいいんだな『男嫁』の吟味をオラたちがやっちまっても」
拓巳の声が聞こえてきた。
「お願いします、水樹を吟味してください」
掛け布団が剥がされ、寝巻きの紐が男たちの手で、ほどかれているのがわかる。
下着の端に男の指が掛かり、スルッと引き下ろされ性器が露出する。
数分後──裸体にされた水樹が寝具の上に転がった。
男性の手が水樹のぺニスをつかんで擦る。
「おぉ、なかなか立派なモノを持っておるわい……タマも活力に満ちておる、これなら子作りするには十分じゃ」
別の男性は、水樹の乳首を弄び、裸体を触りまくる。
「敏感な乳首だ、肌も綺麗な肌をしている……どれ、ア●ルの方はどうかな」
水樹は両足がグイッとV字開脚で持上げられ、排泄の場所を覗かれて感覚を夢の中で感じていた。
水樹の排泄孔を覗いている、男の声が聞こえてきた。
「陰になっていてよく見えないな……誰かペンライトで照らしてくれ」
肛門をライトで照らされているムズ痒いような感覚。
「おぉ、これならよく見える……締まりのよさそうなア●ルだ、子種を注いでも外に漏れなさそうだ」
「オラ、もう我慢できねぇ……ここで一発やっちまってもいいか」
「男嫁の儀式が終わるまで我慢しろ、今日は吟味するだけだ」
水樹に下着を穿かし、寝巻きを整いさせ、何事も無かったように掛け布団を掛けると男たちは蛍光灯を消して部屋から出ていった。
翌朝──鳥の声で目覚めた水樹は、起きたばかりでぼんやりとする頭を押さえて、上体を起こす。
隣では拓巳が背を向けて眠っている。
はだけて、男胸が露出した寝巻きのまま水樹は、朝立ちで固くなった肉竿を握り締めた。
(なんて変な夢)
夢の中でチ●ポを握っていた、男の手の感触が甦る。
水樹がぼんやらとしていると、襖を軽く叩く音が聞こえ。
那智が開いた襖から顔を覗かせる。
「水樹さん、『み祓ぎ』のための野天風呂の脱衣場の準備できてますよ」
「み祓ぎって?」
「あ、拓巳のヤツそれも話していないのか……男嫁は祭りの日まで朝と夕方に、一回ずつ風呂や行水で身を浄めないといけないんです。
運悪くこの家の風呂が昨夜、破損してしまって使えないので近くにある野天風呂で朝食前に、み祓をお願いします……村の祭り前の決まりごとですから」
決まりごとならしかたがないので、水樹は着替えて那智に案内されて野天風呂に向かった。
野天風呂は拓巳の実家裏にある谷沢へと降りる坂の、丸太階段を下って数分のところにあった。
谷川のせせらぎが聞こえる、スダレで目隠しをした簡単な木組みと木屋根の脱衣場だけがある、石とセメントを組み合わせて整備された秘湯だった。
野天風呂に繋がる丸太階段を下りながら、那智が言った。
「昨夜、村と駅を結ぶ唯一の道が倒木と崖崩れで塞がって通行できなくなりました。まぁ、太陽光発電の電気とか井戸の水が使えますからライフラインには支障はなく、物資や食糧も貯蓄や自給自足の村で村全体で助け合っていますから、道が復旧するまで村にいてください」
「オレのスマホ、ずっと電話もネットもできないんだけれど」
「おや、そうですか変ですね……野天風呂に到着しました。脱衣場にタオルと手拭いを用意してあるので、脱いで風呂に入ってください……体を洗うヌカ袋は夕方には用意してしておきますから、祭りの神様がセッケンとかシャンプーとかボデーソープの香りを嫌うので」
水樹は裸になって野天風呂に入る、ちょうどいい湯加減のお湯だった。
水樹は野天風呂の縁に両手を置いて湯の中に太股まで浸かり立ち、ヒップから上を湯気が昇る外気に晒して、沢の流れを眺める。水樹は、ふっと背後からの視線に気づいて振り向き仰天する。
水樹の背中からヒップをナメ回すような異様な視線で、那智が見ていた。その視線は水樹の尻に強く注がれているように感じた。
さらには、数人の村人男性まで那智と一緒に水樹の裸体を異様な視線で凝視していた。
水樹は急いで服を着ると、丸太階段をかけ上がり、その場から離れた。
(この村はどこか、おかしい!?)
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