地球触侵D

 ライナの問い掛けを無視して、凍騎がティティスに言った。
「ティティス、おまえの触手体をライナに見せてやれ」
「了解しました」

 ティティスの体が半透明のゼリー質に変わり、半透明の触手がティティスの裸体からグニュグニュと伸びて蠢く。
 ティティスの膣や乳首から突出した、不気味な触手を見たライナはショックで意識を失った。


 次にライナが意識を取り戻した時……ライナは全裸にされて凍騎とティティスが乗って来た円盤内にある、球体の透明カプセルの中に入れられていた。
 ガチャポンのような球体の内部は、霧状の液体が満ちていてライナの裸体を怪しく濡らしている。
 球体の中央に浮かんだ形でいるライナは、ぼんやりとした意識で球体の外に立っている凍騎とティティスを眺めていた。
 凍騎はライナに背を向けて、壁一面に分割された画面に映し出されている、人物たちと会話をしていた。

 触手たちが言った。
《人間の分際で、我ら古くから侵入していた触手群に命じて『触侵』を遂行するだと》
《それが触手王さまの意思だとしても、簡単に納得はできんな》
《この星の規模は今まで、おまえが触侵を成功させてきた星とは違う……地球人のおまえに、故郷の星の文明を崩壊させる覚悟があるというのか?》
 分割されたモニターに映し出されているのは、世界各国の要人や指導者たちだった……大統領、首相、総理、党首、将軍などテレビで見覚えがある人物たちの耳や口や目から、人間にパラサイトしている黄色の触手が突出して不気味に蠢いている。

《地球のような複雑で多様化した思想体系・文化体系をした惑星の触侵には、触手の母と地球人の深層意識『原母』となる存在が不可欠だ……凍騎とやら『原母』のあてはあるのか?》
 沈黙していた凍騎が、各国の要人を操っている触手たちに向かって言った。
「地球での幼い触手たちの母体となり、地球人の深層意識『原母』となる女性は、すでに用意してある」
 凍騎はカプセルの中に全裸で浮かぶライナを指差す。

ライナを『原母』にする……そのための『触手女王』の細胞は、すでにライナの肉体に数年前に移植されて馴染んでいる。あとは活性化処置を行うだけだ」

 凍騎の言葉に、ざわつく要人パラサイト触手……そのうちの一体、大国の大統領に寄生して耳の穴から出ている触手が代表して言った。
《ほうっ、恋人を我ら触手に捧げるというのか……よかろう、我ら地球潜伏触手一同……おまえの『触侵計画』に従おう……だが、地球への触侵が失敗した場合の覚悟は……できているだろうな》
「触手王さまから地球への『触侵』を命じられた時から覚悟は決めている……失敗した場合は八つ裂きでも、実験解剖でもご自由に」
《おもしろいヤツだ……触手王さまが地球人のおまえに、なぜ興味を持たれたのか疑問だったが、今なら理解できる》
 分割モニターの画面が少しづつ抜けるように消えていき。
 触手にパラサイトされている各国要人の姿がすべて消えた。

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