【もしも……快感以外の感覚でセックスをしたら?】@

 ここは都内某所にある私設の『性科学研究所』……住宅地の一角にある。この怪しげな施設で自称『博士』と称する若い男と助手の紗那は日夜、エッチの研究を続けていた。

 ある日、白衣姿の博士が同じく白衣姿の紗那に言った。
「紗那くん、また実験に、つき合ってくれ」
 振り返った紗那は、眉を寄せて露骨に嫌そうな顔をする。
「またですか、博士が思いつく実験とか研究は、ロクなものじゃないですから……丁重に辞退します」
「今回の実験に協力してくれたら、特別手当て支給」
 特別手当てと聞いて、紗那の顔色が明るくなる。
「やります、やります……どうせまた、セックスするだけでしょう」
「うむっ、紗那くんには、こちらで用意したバイトの男の子と隣の部屋で性交をしてもらう」
「今回はどんな内容の性実験なんですか?」

「紗那くんは疑問に思ったコトは無いか……なぜ、セックスをすると気持ちいいのか」
「はえっ? また変な疑問を抱きましたね、特に深く考えたことは」

「わたしは、ここ数日間、悩み抜いて一つの仮説に到達した。『セックスをすると気持ちいい』この人類最大の謎は解明するのが、わたしに与えられた使命だと痛感した」
「どんな仮説なんですか?」
「セックスをすると気持ちいいのは、宇宙人が生物の遺伝子に組み込んだ陰謀ではないかと」
「また、ぶっとんだ仮説を……じゃあ、人間以外の生物もセックスをすると気持ちいいんですか? 鮭も放卵と放精が気持ちいいからやっているんですか? 植物の受粉とかも、植物は受粉で悶えているんですか?」
「鮭が産卵や放精している画像を見る限りは気持ちいいんだろうな……植物が受精時に感じているかどうかは知らん」
「仮説で博士なりの答えが出たなら、それでいいんじゃ?」
「いや、今度は新たな疑問が浮かんできた」
 博士は真剣な表情で腕を組んで、思案する素振りを見せる。

「どんな疑問ですか?」
「なぜ、繁殖とは無関係の性交以外の行為……オナニーとかアナルセックスでも人間は気持ちがいいのか? と、いう疑問だ」
 紗那はキョトンとした顔をする。
「はえっ??」
「変だと思わないか……繁殖と無関係なオナニーで気持ち良くなるのが。紗那くんはアナルセックスをしたコトがあったな……どうだった?」
「どうって聞かれても……初めての時は痛かっただけで……何言わせるんですか!! オナニーとか愛撫は、セックスの予行練習みたいなもんじゃないんですか? オナニーで気持ちいいんだから、セックスしたらもっと気持ちいいかも? って人間を繁殖に誘うための期待みたいなものでは?」
「さすが、わたしの助手だ……柔軟な発想だな。だが、それだけでは確証が無い。そこでだ」

 博士はバンダナのようなヘアーバンドを紗那に手渡した。
「??なんですかコレ?」
「百均で買った材料で作ってみた『感情コントロール装置』だ……製作時間は約一時間」
「また、とんでもないモノを安い材料費で作りましたね……博士って天才なのか変人なのか、時々判別できない時があります」
「その『感情コントロール装置』を、とりあえず頭に装着したまえ」

 紗那は言われるままに、頭にバンダナヘアーバンド型の怪しげな装置を装着して言った。
「これでいいですか? 頭にコレを付けたままセックスすればいいんですね」
「さすが、わたしの助手だ物分かりがいい……隣の部屋に相手役の男性を待機させてある」

 博士と紗那は、隣の部屋に移動した……隣の部屋では、ベットの上に全裸で十八歳くらいの男性が一人、座って待っていた。
 男性の額にも紗那がしているのと同じバンダナヘアーバンド型の『感情コントロール装置』が巻かれている。

 博士が言った。
「さあ、紗那くん、裸になって交わるんだ」
 博士がビデオカメラを三脚にセットして、撮影準備をしている間に、紗那は衣服を脱いで全裸になった。



[後戯へ]

1/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!