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「キミの声」
少し、冷たい風が吹く。
あぁ、折角の桜が散ってしまう、と頭の隅でぽつんと思う。
月に照らされている桜が散る様はまるで彼の最期の様で。
見ていて辛かった。
儚く、そして誰よりも強かった彼。
でも本当は誰よりも人が怖かった彼。
そして、怖がりな彼を守れなかった自分。
もう、消えてしまいたかった。
跡形もなく消えてしまいたかった。
君に言いたかった。
今もこの心の中を駆け巡るこの気持ちを。
逢いたい リオンに。
「……り、お…んっ」
と、強い風がスタンを包んだ。
「笑って、輝いて、ずっと。スタン」
ばっ!!
俯いていた顔を思い切り上げた。
今、確かに声が…。
「リ…オン?」
びゅうっっっ!!
「っ…!」
あぁ、きっと。
泣くなと彼が慰めているのだろう。
スタンは吹っ切れたように立ち上がると涙でぐしゃぐしゃになった顔で笑顔を咲かせた。
「リオン。愛してる」
だからどうか、安らかに。
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