甘い甘い/真田弦一郎
ほんのりと薄く色づいた桃色の和菓子。柔らかな餡で出来たそれは、ななしの唇に食まれて、いっそう美味しそうに見える。
和菓子を喉に流し込む訳でもなく、ただ半面だけを口の中に入れたまま、ななしはこちらを見上げる。薄桃色の餡よりも幾ばくか赤みのあるななしの唇に、思わず喉を鳴らした。
二人の間に置かれた、控えめながらも色とりどりに着飾る和菓子たちが乗る盆を退けて、自分の膝頭を擦り寄せる。
「…ん…」
ななしがくわえていた和菓子にかじりつくように、ゆっくりと唇を寄せる。甘さを控えた上品な餡の欠片が、俺の舌先にコロリと落ちてくる。
「…もう、食べたかったんならそう言ってよ」
「む、すまん」
別にそれほど食べたかった訳ではなかったし、そこまで食い地が張っているわけでもない。ただ、ななしと唇を合わせる機会が欲しかっただけだが、そう言われてしまえば肯定するしかない。
もう一度ななしと唇を重ねる機会はないものか。もぐもぐと口を動かすななしをチラリと見ながら、端に避けた盆に手を伸ばした。
「あ、私もそれ食べたい」
「これか?」
ちょうど手にした包み紙がななしのお気に入りだったようで。恋人に「食べたい!」と言われたら、あげない訳にはいかないだろう。
「目を瞑って、口を開けておれ。放ってやる」
「はーい」
ガサガサと包み紙を開く音を聞きながら、ななしは嬉しそうに口を開いて今か今かと待っていた。そんなななしの期待を裏切るのはいささか心が痛いが、包み紙から取り出した和菓子をそっと盆の上に置く。
「んっ…」
甘い。なんて甘いのだろう。無防備に開けられたななしの腔内に舌を差し入れてみれば、先ほどまで食べていた和菓子のせいか、ひどく甘ったるく感じた。
「ふ…ぁ…」
そっと、手のひらでななしの乳房を包み込む。下着を着けているとはいえ、男にはない柔らかさに、下腹部がぞくりと痺れた。
ななしの色好い反応に、俺の手はますます大胆になっていく。
「あっ…」
ブラウスの中に侵入したかと思うと、あっという間にブラジャーをたくしあげてしまう。早くあの柔らかさを堪能したい。
「おぉ…柔らかい」
ふにふにとした心地良い感触が手のひらに広がる。筋肉ばかりついた自分の身体には到底ない感触に、時間も忘れて没頭してしまう。
ふと、乳房を揉みしだく手のひらに硬い感触を感じる。乳房のちょうど頂に位置するそれが、ぷっくりと膨張してきたのであろう。
「あ…くぅっ…」
少し強めに摘まんでみれば、ななしは嬉しそうに鳴き出す。白い乳房に桃色の突起、なんていやらしいのか。実にけしからん。
ピンと硬く立ち上がった乳首を唇で食んでみれば、ななしはビクリと身体を緊張させた。
「あぁっ…ん…」
唾液をたっぷり纏った舌で、硬くとがった乳首をペロリと舐め上げる。柔らかな乳房と硬い乳首を舌で存分に味わう。
図体のでかい俺がななしの前ではまるで赤子のようだ、と心の中で苦笑した。
「も、そこばっかり…意地悪…」
夢中でななしの乳首を転がしていた俺の髪を、ななしが小さく引っ張る。もう少し舐めていたかったが仕方ない。期待に膨らんだ己の下腹部を抑えつつ、ななしの下着を早々に剥ぎ取った。
「いつ見てもたまらん光景だな…」
ゴクリと生唾を飲み込むと、そのまま唇を押し当てる。恥ずかしそうに俯いていたななしは、か細い声とともにビクッと顔を上げた。
どんな和菓子よりも甘く官能的な匂いが、俺の鼻腔いっぱいに広がる。そのまま噛みついて貪りたいという衝動を抑え、深く濃厚な愛撫を行う。
「あんっ!ん、やあぁ…」
すでに膨らんでいた肉芽を押し潰すように、舌に力を加えてみる。それでも健気に立ち上がるソコが、愛しくてしょうがない。
チュ、と吸ってみればななしの身体は面白いように反応を返す。とぷりと溢れる愛液を掬って、再び肉芽に塗り込めた。
どうやらななしは、舌全体で肉芽を舐め上げられるのが好きなようで。淫らに腰を浮かせては、もっともっと、というようにねだってくる。
「そんなにココを舐められるのが気持ち良いか」
「んっ…気持ち良い…!」
「よかろう」
素直なななしに気を良くして、再び肉芽への愛撫へ戻る。愛液か唾液かは分からないが、肉芽に唇を寄せるたびにぷちゅ…と淫靡な水音がした。
「や、弦一郎っ…それ以上舐めたらぁ…」
「ほぅ、イくか?」
「うんっ…」
小さくコクリと頷くななし。あぁ、なんて可愛らしいのだろう。恥ずかしそうな表情とは裏腹に、下半身はぐちょぐちょに蕩けているというのに。
「あっ、やぁ!だめぇ…あっ、あぁっ」
泣きそうな、それでも劣情にまみれたななしの顔は実にそそるものだ。いやだと顔を振っても、その小さな手は絶頂を迎えるため、きゅっと俺のワイシャツを掴んで離さない。
「あっ、あーっ、イっちゃうよぉ…!やあ、ああぁん!」
ガクガクと腰が震えたまま、ななしは絶頂へと達してしまう。失禁でもしたかと思うほどに、ななしのスカートはびしょ濡れになっていた。
甘い声に甘い体液、ななしはなんて甘ったるい生き物なのだろうか。
終
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