小話
ぬくもり(ハオ葉)
「暖かいな…。」
僕の腕の中ですやすやと安らかな寝息をたてる葉。
その葉の体温がとても暖かく感じて、つい独り言を呟いてしまった。
すると葉がもぞもぞと身じろぎして焦点の合っていない瞳で僕を見つめる。
「ん…。はお‥?」
「ああ…ごめんね葉。起こしてしまったかい?」
「はお…あったけぇな……。」
どうやら葉は寝ぼけているらしい。
と思っていると、突然ぎゅっとしがみつくように抱きしめられた。
少し驚きはしたものの、葉のその行為が嬉しくて僕も葉を優しく抱きしめた。
「おいら…はおと…いっしょで……よかった……。」
半分は寝ている葉の言葉は、それでも僕に触れる体温以上の暖かい気持ちをくれた。
「僕も一緒で良かったよ、葉。」
愛しさをこめて優しく頭を撫でてやると、葉はふわりと笑った。
人のぬくもりがこんなに心地よいものだったこと、僕は長い間忘れていた。
だからというわけじゃないけど、もう少しだけこの幸福に身を置かせてほしいと思ったんだ。
ユルいくせに変なところで頑固で。
甘いものが好きなことを子供みたいだとからかえば、それこそ小さな子のように頬をふくらませて。
こんな僕でも恐がらずに側にいてくれて。
そんな葉とだからこんなにも安らげる。
きっと葉が僕の半身じゃなかったとしても、僕は変わらず葉を愛しただろうな。
「…僕も、一眠りしようかな。」
側には誰より愛しい君がいてくれるしね。
「おやすみ・・・葉。」
「…お‥ゃ…すみ……ハオ‥」
(このふたりだけの心地よい時間を)
(いつまでだって感じていたいよ。)
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