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涼宮ナツキの憂鬱
第三話
「東中出身、涼宮ナツキ」

ここまでは普通だった。普通じゃないと思うヤツは挙手〜。体をよじって真後ろの席を見るのもおっくうなので俺は前を向いたまま、その冷ややかな声を聞いた。

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

空気が氷ついた……と思われたが、親父だけは違った。

「はい次〜」

ちょっと待て!今のを聞いて親父は何も思わないのか?呑気にはい次〜って何だ。無神経すぎるだろ。

しかし、俺の考えていることは親父に伝わるはずもなく、次のやつは戸惑いつつも自己紹介を始めた。涼宮ナツキと言ったか?もう一度よく見てみる。長くて真っ直ぐな黒い髪、白のカチューシャ、この上なく整った目鼻立ち、意思の強そうな大きくて黒い目を異常に長いまつげが縁取り、薄桃色の唇を固く引き結んだ女。この顔誰かに似ているような顔立ちだな。まぁそんなことはいい。親父の無神経は今に始まった事じゃないし、コイツもクラスメートのハートを掴むためのジョークを言ったまでだろう。

そう軽く考えられていたのはこの時だけで、涼宮ナツキの言ったことは結果から言うと、ギャグでも笑いどころでもない。涼宮ナツキは常に大マジなのだ。のちに身をもってそのことをしった俺が言うんだ、間違いない。

こうして俺たちは出会っちまった。偶然だと信じたい、としみじみと思う。

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