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涼宮ナツキの憂鬱
第四十六話
涼宮ナツキは絶好調だ。

先日新SOS団が設立され、ナツキのテンションはブレーキの効かない蒸気機関車状態だ。だから図書館奥の部室は俺の心のオアシスと化しつつあった。

「しつれーしまーす」

「あっキョウくん」

「こんにちはキョウさん」

二人のメイドさんが俺を出迎えてくれた。もちろん本物ではない。長門さんと美春のツートップだ。

「あの、やっぱり着てるんですね」

「涼宮さんには逆らえませんから」

健気な長門さんに対し、美春といったら……

「どうかなキョウくん?」

はじめてのメイド服にはしゃぎっぱなしのご様子。一樹先輩に見せてやれよ。

「それはさすがに恥ずかしいよ」

「こんにちはーってあれ、お邪魔だったかな?」

ちょうどよく一樹先輩が現れた。

「あ、お茶用意するね」

美春はクルッと回れ右をしてコンロに火をつけた。

「まったく涼宮さんも無茶な事するね」

「でも顔エロいですよ?」

「バレたか」

さすがの一樹先輩でも二人のメイドさんはたまらないみたいだ。

「お待たせしました……ってうわっ!」

美春は何もないところで豪快に転んだ。

「大丈夫!?」

長門さんはすかさず美春に駆け寄った。

「ありがとう亜紀ちゃん」

びしょびしょのメイド服姿の美春を、俺は全然見られなかった。

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