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第三十八話
ナツキに連れてかれていった先は、駅前の公園だった。

「で、なんでここなんだ?」

「んーなんとなく」

なんとなくって……ここにお前の目に止まるやつがいるんだろうか?

「とりあえず行きましょ」

「ちょっと待て」

ここは惜しいが言っておこう。

「俺の腕を放せ」

「なんでよ」

「見られてるだろうが」

「別にいいじゃない」

「お前はいいだろうが、俺は嫌なんだよ」

「うるさいわね」

そう言うとナツキは俺の腕を放した。ただ肘に残る柔らかい感触は残っていたがな。

「ほらさっさと歩く!時間は待ってくれないのよ!」

ナツキはズカズカと歩き始めた。何怒ってんだろうコイツは。

ナツキに着いていく俺の足はこの時から少しずつ重たくなってきていた。


この公園は案外広く、池やグランド、それから少し小高い山などがあるためデートコースで使えると谷口が言っていた。谷口が使ったかどうかは知らないが、近い将来俺も使うかもしれないから一応覚えていた。

「ちょっとあの山登ってみましょ」

「なんでだよ」

「いいから早く!」

仕方なく着いて行く俺。もう何度も言ったから飽きただろう?軽く流してくれたら幸いだ。ズカズカとした歩調はそのままで、ナツキは山を登り始めた。

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