涼宮ナツキの憂鬱
第二十二話
この日涼宮ナツキの顔の広さには驚かされた。この日の昼休みの話である。
「おいキョウ!」
谷口と国木田が弁当を持ってやってきた。なんか怒ってるような、
「あの話マジなのか?」
あの話?なんじゃそりゃ。
「涼宮さんと登校してたってやつ」
「んなっ!何でそれを」
「お前らが一緒に学校行ってたのを見たってやつがいたんだよ」
んにゃろ……誰だこんな話を広めたヤツは。一発殴ってやるから出てきやがれ。
「で、ホントなの」
まあホントの事だし、隠したら逆に悪い噂が流れそうだから一応肯定はしておくことにする。
「お前、涼宮にやられちまったのか」
谷口が肩に手を置き、気の毒そうに俺の顔を見た。
「やっぱりキョウは変な女が好きだったんだね」
「違うつってんだろが」
国木田も国木田だ、こいつも心の底では笑っているに違いない。やれやれ、なんでこう涼宮の事になると、ここまで事が大きくなるのかねぇ。
「キョウ、夢から早く覚められるように祈ってるぜ」
何言ってんだ谷口。お前が寝てんじゃねえのか?
「キョウ!何ちんたらしてんのよ!さっさと行くわよ!」
勢いよく教室の扉が開いたと思ったら、ナツキが俺の席までやって来た。
「ちょっ……待てよ」
「さっさとしなさい。時間は待ってくれないのよ!」
「おいっ!ちょっと待て。この手を離せ!」
俺はナツキにされるがまま、首ねっこを掴まれどこかへ引きずられていくのであった。
「お達者で〜」
当然谷口と国木田の言葉が俺の耳に届く事はない。
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