涼宮ナツキの憂鬱
第二十話
青い空に雲が浮かび、今日もいつも通りの一日が始まると思った……思ったのだが、思い通りにはなかなかいかない。そういう経験したことはないだろうか?
「じゃあ行って来るわね」
「傘忘れんじゃねーぞ」
「しつこいなあ、雨なんて降るわけねーじゃん」
親父と母さんは一足早く学校に向かうため玄関を出た。出たまではよかったのだが……
「キョウ。ガールフレンドが来てるぞ!」
「はあ!?」
親父はまだからかいたらねーのか?そもそも俺にはそんな憧れの名称のついた人物なんていないぞ。
「早く出て来なさいよ!さっさと行くわよっ!」
涼宮ナツキがそこにいた。
「じゃあな。女の子を待たせんじゃねーぞ?」
「余計なお世話だ!」
親父を追い出して俺は考えた。えーと、なぜ涼宮ナツキがここにいるのだろうな。俺には思い当たるフシがないのだが……
「あんたを……迎えに来たのよ」
そのセリフ、照れ隠しの気の強い女の子の感じで頼む。
「ば……バカ。さっさと行くわよ!」
リクエストに答えてくれたのかくれてないのか知らないが、ナツキはふてくされてしまった。さーてこの姫君の機嫌を治すためにも、何かしてやらなくてはな。
「すぐ準備すっから、これ飲んで待ってろ」
「何よこれ?」
「暑かっただろうからアイスコーヒー持ってきてやったんだよ」
「あ……ありがと」
ナツキは顔を赤くしてうつ向いた。こういう表情なら可愛いのにな。
「ちなみに俺が少し飲んでるけどな」
こういう表情の時こそからかいがいがある。親父にやられた鬱憤が溜ってたしな。
「えっ……」
ナツキの意外な反応に驚いた。ナツキは顔を真っ赤にさせて固まってしまった。
「じ……冗談だからな」
逆に俺が焦った。コイツがこんな表情を持っているとはハナから思っていなかったからな。
「むー……いいからさっさと準備してきなさい!」
「へいへい」
怒ったり、赤くなったり忙しいやつだな。
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