涼宮ナツキの憂鬱
第十三話
やれやれ。俺の頭はとうとうイカレちまったか?いつもならキッパリ断っただろうに。
一時限目の親父の数学を筒抜けに聞きながら、いやこれは聞いてないのか。俺はあることを考えてた。
宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしのところに来なさい──
確かにいたらいいと思う時期もあった。でもそれらは生物かは知らんが、想像上の話であって、現実にはいないととうに俺は知っている。しかし、ナツキの生き様を羨ましいと思う理屈では割り切れない感情が心の片隅でひっそり踊っていることも無視できない。
俺がとうに諦めてしまった非日常との邂逅(かいこう)をいまだに待ち望んでいるわけだし、なんと言ってもやり方がアクティブだよな。
ただ待っていても都合よくそんなもんは現れやしない。そもそもいないんだし(俺がそう思うだけだが)。いつからナツキが傍目から見るとトチ狂っているとしか思えないことをしてるのは知らんが、待てど暮らせど何も現れず、業(ごう)を煮やして奇怪な儀式を行ってもナシのツブテ、そりゃいつも全世界を呪っているような顔にもなる……んなわけないか。
そんな馬鹿げた考えをしている俺に気付いたのか、親父は鋭く俺を指し笑い者になるまでのほんのわずかな時間だった。
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