涼宮ナツキの憂鬱
第一一五話
「涼宮ナツキを知っているんですか?」
長門先生はこくりとうなずく。よかった、ようやく俺が本当に効きたいことが聞ける。こうなってしまっては落ち着きようがない。
「どこにいるんですか?」
「言えない」
「なんでですか?」
「うまく言語化できない」
気持ちが興奮から落胆に変わった。そうだよな。長門先生が知っていたとしたら街で財布を拾ってもらったかそんな程度だろう。
「すみません」
「謝ることはない」
答えをつかみかけては手放し、ヒントを繋いでも共通点がなく、ナツキはかぐや姫のように月に帰ってしまったんだろうかとしか考えられなくなっていた。月というのは冗談だが。
「あの、お茶ありがとうございました」
「いい。涼宮ナツキの願望を叶えてあげて」
長門先生に一礼して俺は図書館を出ようと席を立ったのだが、俺は突っ立ったまんま固まってしまった。ナツキの願望って何だ?宇宙人とかに会いたいってやつか?そんなもんいるわけねえ。いや、一応知っているにはいるんだが。ならナツキが望んでいることってなんなんだ?
「どうしたの?」
と、長門先生が尋ねると、俺は何も言わず一礼して図書館を出た。
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